遺言・生前対策

遺言の種類と選び方を徹底解説|自筆・公正証書・秘密証書の違い

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
遺言の種類と選び方を徹底解説|自筆・公正証書・秘密証書の違い

「遺言を残したいけれど、どの種類を選べばいいかわからない」という方へ

「そろそろ遺言を書いておきたい」と思いながら、種類が複数あることを知って戸惑っていませんか?
「自分で書けばいいのか、公証役場に行く必要があるのか……」という疑問は、非常に多くの方から寄せられます。

結論からお伝えすると、民法で定められた遺言には大きく3種類あり、それぞれ作成方法・費用・法的効力が異なります。 自分の状況に合った種類を選ぶことが、遺言をしっかり活かす第一歩です。

この記事では、遺言の3つの種類の基本から、どのケースにどの遺言が向いているかまで、具体例をまじえて解説します。


遺言の3種類とは?まず全体像を把握しよう

民法が定める「普通方式の遺言」には、以下の3種類があります(民法967条)。

種類作成方法費用感証人
自筆証書遺言自分で全文・日付・署名を手書きほぼ無料〜数千円不要
公正証書遺言公証人が作成・公証役場で保管数万円〜(財産額による)2名必要
秘密証書遺言自分で作成し公証役場で存在を証明数万円程度2名必要

このほかに、死が切迫している場面で使う「特別方式の遺言」(一般危急時遺言など)もありますが、通常の生前対策ではほとんど使われません。以下では普通方式の3種類を詳しく見ていきます。


①自筆証書遺言|手軽さが魅力、ただし形式ミスに注意

特徴と作成ルール

自筆証書遺言は、遺言者本人がすべての内容を自筆(手書き)で作成する遺言です。紙とペンがあれば今すぐ書き始められます。
ただし、民法が定める形式を満たさないと遺言書全体が無効になるため、以下の点は厳守が必要です。

  • 全文を自筆で書く(ワープロ・パソコン入力は原則不可)
  • 日付を正確に記載する(「○月吉日」は不可)
  • 署名・押印をする(認印でも可だが実印が望ましい)

※2019年の民法改正により、財産目録のみパソコン作成・通帳コピーの添付が認められています。

法務局の保管制度を活用しよう

2020年7月から、法務局(遺言書保管所)に自筆証書遺言を預けられる制度が始まりました。
保管費用は3,900円(2024年時点)で、

  • 紛失・偽造・隠匿のリスクが減る
  • 家庭裁判所での検認手続きが不要になる

というメリットがあります。費用を抑えたい方には特におすすめの方法です。

こんな方に向いている

  • 財産がシンプルで相続人関係も複雑でない
  • まず気軽に遺言を書いてみたい
  • 費用をできるだけ抑えたい

②公正証書遺言|信頼性と確実性が最も高い

特徴と作成の流れ

公正証書遺言は、公証人(国家資格者)が遺言者の意思を確認しながら作成し、原本を公証役場が保管する遺言です。品川・大田・港区周辺にも複数の公証役場があります。

作成の大まかな流れは次のとおりです。

  1. 事前に公証人と打ち合わせ(電話・メールも可)
  2. 証人2名を用意(相続人や受遺者はなれない)
  3. 公証役場で遺言の読み聞かせ・確認・署名・押印
  4. 原本は公証役場に保管、正本・謄本を受け取る

費用の目安

公正証書遺言の費用は、遺言で処分する財産の価額に応じた公証人手数料が主なコストです(政令で定められた手数料)。

財産の価額公証人手数料の目安
100万円以下17,000円
200万円以下23,000円
500万円以下29,000円
1,000万円以下43,000円
3,000万円以下23,000円(加算)
5,000万円以下29,000円(加算)

※財産が複数ある場合は合算・加算計算になります。詳細は最寄りの公証役場か専門家にご確認ください。

こんな方に向いている

  • 財産が多い・不動産を含む相続を予定している
  • 相続人間でトラブルが起きる可能性がある
  • 確実に遺言を執行させたい
  • 遺言書の形式ミスが心配な方

自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所の検認が不要なため、相続発生後の手続きもスムーズです。


③秘密証書遺言|内容を秘密にしたいときの選択肢

秘密証書遺言は、内容を誰にも知られずに遺言を残したい場合に利用できる方法です。遺言者が署名・押印した遺言書を封印し、公証役場で「この封書が遺言書である」と証明してもらいます。

ただし、公証人は内容を確認しないため、形式的なミスがあっても気づけません。また、自筆証書遺言と異なりパソコン作成も可能ですが、相続発生後に家庭裁判所での検認が必要です。

実務上は自筆証書遺言か公正証書遺言が選ばれることがほとんどで、秘密証書遺言はあまり使われていないのが現状です。


3種類を比較|どの遺言を選ぶべきか

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言
費用低い(保管3,900円〜)数万円〜数万円程度
形式ミスのリスク高い低い(公証人が確認)中程度
内容の秘密性高い低い(公証人が把握)最も高い
検認の要否法務局保管なら不要不要必要
紛失・偽造リスク自宅保管は高い低い(原本は公証役場)中程度
おすすめ度★★★(法務局保管前提)★★★★★★★

一般的には、確実性・安全性の観点から公正証書遺言が最もおすすめです。特に不動産を含む相続では、2024年4月から相続登記の義務化が始まっており、遺言書の有無が手続きの円滑さに直結します。


遺言作成で見落としがちな2つのポイント

①遺留分への配慮

遺言で「全財産を〇〇に」と書いても、法定相続人には遺留分(最低限の相続分)が認められています。遺留分を侵害する遺言は無効にはなりませんが、後に遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。

②生前贈与との組み合わせ

2024年1月から、相続開始前7年以内の生前贈与が相続財産に加算されるルールが段階的に適用されています(改正前は3年)。遺言と生前贈与の組み合わせ方は、税務面の影響が大きいため、税理士との連携が重要です。


遺言の種類選びで迷ったら、専門家に相談を

「どの種類が自分に合っているかわからない」「不動産が複数あってどう遺言に書けばいいか」など、個別の事情によって最適な対応は大きく変わります。

**Bushizo相続相談室(品川広域センター)**では、宅地建物取引士が不動産の観点から状況を整理し、司法書士・税理士・弁護士と連携して遺言作成から相続発生後の手続きまでワンストップでサポートします。「売却を急かさない」姿勢で、じっくりご相談いただけます。

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よくある質問

Q1. 遺言書は何度でも書き直せますか?

はい、遺言はいつでも何度でも撤回・書き直しができます。複数の遺言書がある場合、原則として日付が新しいものが有効です(民法1023条)。定期的に内容を見直すことをおすすめします。

Q2. 遺言書がなければ相続はどうなりますか?

遺言書がない場合、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。協議がまとまらないと家庭裁判所での調停・審判に発展することもあります。特に不動産が含まれる場合は、2024年4月から相続登記が義務化されたため、遺言書で方針を明確にしておくことがより重要になっています。

Q3. 認知症が進んだ親でも遺言を書けますか?

遺言を作成するには遺言能力(意思能力)が必要です。軽度の認知症でも能力が認められるケースはありますが、症状の程度によります。「まだ大丈夫」と思えるうちに早めに作成するのが安心です。判断が難しいケースは専門家にご相談ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律判断・税務判断を行うものではありません。具体的な対応については、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

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