手続き全般

退職金と相続の関係を徹底解説|相続財産になるの?税金は?

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
退職金と相続の関係を徹底解説|相続財産になるの?税金は?

「退職金は相続財産になる?」——その疑問、まず結論からお伝えします

亡くなった方が会社員や公務員だった場合、「勤め先から退職金が支払われると聞いたけれど、これは遺産分割の対象になるの?」「相続税はかかるの?」と頭を抱えるご家族は少なくありません。

結論から言うと、死亡退職金は原則として民法上の「相続財産」にはなりません。しかし相続税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。 この二面性が混乱のもとになっています。

本記事では、退職金と相続の関係を「法律上の扱い」「税金」「手続き」の三本柱で、わかりやすく整理してお伝えします。


死亡退職金が「相続財産ではない」とはどういう意味か

民法上は「固有の権利」として扱われる

会社員が在職中に亡くなると、会社の就業規則や退職金規程に基づいて「死亡退職金」が遺族に支払われます。この死亡退職金は、受取人(多くの場合は配偶者や子など特定の遺族)が会社から直接受け取る固有の権利とされています。

そのため、

  • 遺産分割協議の対象にならない
  • 他の相続人が「分けてほしい」と主張することは原則できない
  • 遺言書による指定も及ばない

という扱いになります。品川・大田・港エリアの相談窓口でも、「相続人の一人が死亡退職金を独り占めしている」と他の相続人が憤慨して来られるケースがありますが、制度上はそれが正当な受取りになっているケースがほとんどです。

ただし、受取人の指定がない場合は注意

就業規則に「法定相続人に支払う」などと定められている場合、誰が受取人になるかで解釈が分かれることがあります。争いになると弁護士が関与することも珍しくありません。ケースによっては相続財産に含まれると判断されることもあるため、専門家への確認をおすすめします。


相続税法上は「みなし相続財産」——非課税枠を賢く使おう

民法上は相続財産でなくても、相続税法では「みなし相続財産」として相続税の計算に含まれます。ただし、非課税枠があるため、全額に税金がかかるわけではありません。

死亡退職金の非課税限度額

項目計算式
非課税限度額500万円 × 法定相続人の数
課税対象額受取った死亡退職金 − 非課税限度額

具体例:

  • 死亡退職金:2,000万円
  • 法定相続人:配偶者・子2人の合計3人
  • 非課税限度額:500万円 × 3 = 1,500万円
  • 課税対象:2,000万円 − 1,500万円 = 500万円

この500万円が他の遺産と合算され、相続税の課税対象となります。

ポイント: 生命保険の死亡保険金も同じ「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。ただし、退職金と保険金でそれぞれ別々に非課税枠が適用されます。

法定相続人のカウント方法

相続放棄をした人がいても、非課税限度額の計算では「放棄がなかったものとした場合の法定相続人の数」を使います。また養子は一定数まで法定相続人に含めることができます(実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで)。


退職金に関連する相続税の申告手続きと期限

申告期限は「10か月以内」

相続税の申告・納付期限は、被相続人(亡くなった方)が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。死亡退職金の受取りが申告期限をまたぐ場合も申告の準備は早めに進めておきましょう。

手続きの主な流れ

ステップ内容目安時期
1死亡診断書・死亡届の提出死亡後7日以内
2会社への死亡届・退職金申請書の提出速やかに
3相続人・相続財産の確定〜3か月以内
4遺産分割協議(死亡退職金は原則対象外)〜10か月以内
5相続税申告・納付10か月以内

会社によって申請書類の様式や提出期限が異なります。早めに人事・総務部門に確認しましょう。

相続登記についても忘れずに

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。不動産を相続した場合、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければ過料の対象となります。退職金の手続きと並行して、不動産がある場合は相続登記の準備も進めてください。


退職金と相続税の注意点——見落としがちなケース

① 受取人が相続人以外の場合

受取人が相続人でない(内縁のパートナーや第三者)場合、非課税枠は適用されません。全額が「遺贈」と同様に扱われ、相続税が課税されます(2割加算の対象にもなりえます)。

② 生前贈与加算の7年ルール(2024年改正)

2024年1月以降の生前贈与については、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるルールに段階的に移行しています(改正前は3年以内)。退職金とは直接関係しませんが、生前に受け取っていた贈与がある場合は相続税の計算に影響が出ることがあるため、税理士への確認をおすすめします。

③ 弔慰金との区別

会社から支払われる「弔慰金」は、一定額まで相続税が非課税になりますが、実質的に退職金の性質を持つと認定されると課税対象になります。業務上死亡の場合は給与の3年分まで、業務外の場合は給与の6か月分までが非課税の目安(一般的な基準)とされています。


相続手続き全体を一括でサポートします

退職金の受取手続き、相続税申告、遺産分割協議、不動産の相続登記——相続には多岐にわたる手続きが同時に発生します。

**Bushizo相続相談室(品川広域センター)**では、宅地建物取引士を中心に、司法書士・税理士・弁護士と連携したワンストップ対応を行っています。「売却を急かさない」姿勢で、お客様のペースに合わせた相談をお受けしています。品川・大田・港エリアを中心に、全国の相続不動産にも対応しています。

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よくある質問(Q&A)

Q1. 死亡退職金は遺産分割の話し合いをしなくてよいのですか?

A. 原則として、死亡退職金は就業規則等で受取人が定められており、その受取人の固有財産となるため、遺産分割協議の対象外です。ただし、受取人の定めがない場合や、規程の解釈が不明確な場合はトラブルになることがあります。ケースによって異なりますので、専門家への相談をおすすめします。

Q2. 相続放棄をした場合でも死亡退職金は受け取れますか?

A. 一般的には、死亡退職金は相続財産ではなく受取人固有の権利であるため、相続放棄をしても受け取ることができると解されています。ただし、受け取った退職金を相続財産と混同して管理すると「法定単純承認」と判断されるリスクがあります。相続放棄を検討している場合は、必ず弁護士や司法書士にご確認ください。

Q3. 退職金が未払いのまま亡くなった場合はどうなりますか?

A. 生前に退職しており、退職金がまだ支払われていなかった場合(未収の退職金)は、相続財産として遺産分割の対象になります。この場合は「みなし相続財産」ではなく通常の相続財産として扱われ、相続人全員での合意が必要になります。死亡退職金(在職中に死亡した場合)とは取り扱いが異なる点に注意してください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律判断・税務判断を行うものではありません。具体的な手続きや税金の計算については、司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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