遺言・生前対策

生前贈与vs相続|不動産はどちらが得か、分岐点を解説

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
生前贈与vs相続|不動産はどちらが得か、分岐点を解説

「生前に不動産を渡すべきか、相続まで待つべきか」——その悩みに答えます

「実家をそのうち子どもに渡したいけれど、贈与と相続、どちらが税金は安いのだろう」——品川・大田・港エリアでも、こうした相談を数多くいただきます。

結論から言えば、どちらが得かはケースによります。ただ、判断の分岐点となるポイントは明確です。この記事では、不動産の生前贈与と相続を比較し、「自分はどちらを選ぶべきか」を考えるための材料を整理します。


生前贈与と相続、基本的な違いをおさらい

まず前提として、二つの制度の違いを確認しておきましょう。

項目生前贈与相続(死後)
タイミング生きているうちに渡す亡くなった後に引き継ぐ
かかる税贈与税(受贈者が払う)相続税(相続人が払う)
名義変更コスト登録免許税2.0%+司法書士費用など登録免許税0.4%+司法書士費用など
不動産取得税かかる(原則)原則かからない
活用の自由度渡した後すぐに活用・売却可能遺産分割が完了するまで動かしにくい

一見すると「相続のほうが税やコストが低い」と感じるかもしれません。ただし、それだけで判断するのは危険です。相続税の課税額、財産の規模、家族構成、将来の地価動向など、複数の要素が絡み合います。


不動産贈与税の仕組みと主な控除制度

不動産を贈与した場合、受け取った側(受贈者)に贈与税が課されます。贈与税の計算には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。

暦年課税(毎年110万円の基礎控除)

暦年課税では、1月1日から12月31日の1年間に受け取った贈与の合計額から、基礎控除110万円を差し引いた金額に税率をかけます。

課税価格(控除後)税率控除額
200万円以下10%
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

※一般贈与財産(直系尊属以外)の場合は税率が異なります。詳細は税理士にご確認ください。

ポイント:2024年からの「7年加算ルール」に注意

2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から、生前贈与加算の期間が従来の3年から7年に延長されました。つまり、贈与者が亡くなる前7年以内に行われた贈与は、相続財産に持ち戻されて相続税の課税対象になります(延長された4年分は総額100万円まで控除あり)。

「早めに少しずつ渡せば節税になる」という戦略は依然として有効ですが、より長期的な計画が必要になりました。

相続時精算課税(2,500万円の特別控除)

2023年の税制改正により、相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が加わりました(2024年1月1日以降の贈与から適用)。

この制度は、累計2,500万円までの贈与が非課税(贈与税ゼロ)になる代わりに、贈与者が亡くなったときに贈与財産を相続財産に加算して相続税を計算する仕組みです。地価上昇が見込まれる不動産を早期に渡したい場合や、将来の評価額が今より高くなりそうな物件に向いています。

なお、一度この制度を選択すると暦年課税には戻れないため、慎重な判断が必要です。

配偶者控除の特例(おしどり贈与)

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、最大2,000万円の配偶者控除が利用できます。基礎控除110万円と合わせると、合計2,110万円まで非課税になる計算です。ただし、要件が細かく、配偶者の相続時には相続財産への加算を免れる点もメリットです。


生前贈与vs相続、「得になる」分岐点はここ

では、実際にどちらが有利になるのか。一般的な判断軸を整理します。

生前贈与が有利になりやすいケース

  • 相続税の課税対象になる財産規模(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人数を超える見込み)
  • 地価・不動産評価額が今後上昇しそうな物件(早めに渡すことで相続時の評価額増加分を節税)
  • 子や孫に早期に活用させたい(賃貸経営や売却を早めに行いたい)
  • 争族(遺産争い)リスクを避けたい(誰に渡すかを生前に確定できる)

相続まで待つほうが有利になりやすいケース

  • 相続税が非課税範囲に収まる見込み(基礎控除内であれば、相続税ゼロ)
  • 不動産取得税・登録免許税のコストを避けたい(贈与では不動産取得税が課されるが、相続では原則不要)
  • 小規模宅地等の特例を使いたい(被相続人の居住用・事業用土地は相続時に最大80%評価減の特例あり。生前贈与では適用不可)
  • 配偶者の税額軽減を活用したい(相続では配偶者は1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税)

要注意:小規模宅地等の特例は生前贈与では使えません。 自宅の土地を生前に贈与してしまうと、この強力な特例を失うことになります。評価額の大きい居住用土地ほど、慎重な検討が必要です。


2024年4月からの相続登記義務化も見逃せない

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得した場合、原則として相続を知った日から3年以内に登記申請を行わなければならず、違反すると10万円以下の過料が科される可能性があります。

この改正は、生前贈与の判断にも影響します。「相続後に登記を放置していた」という状況が許されなくなったことで、相続後の手続き負担が増す一方、生前贈与であれば贈与時点で名義変更を完了できるというメリットが再評価されています。

ただし、生前贈与の登録免許税(固定資産税評価額の2.0%)は相続登記(0.4%)に比べて高いため、コスト面では相続に軍配が上がります。


不動産の生前贈与を検討するときの注意点まとめ

注意点内容
贈与税の計算は固定資産税評価額が基準路線価や固定資産税評価額を確認する必要あり
7年加算ルールへの対応長期的な計画が不可欠。早期着手が重要
小規模宅地等の特例との兼ね合い自宅の土地は特に慎重に
名義変更コスト(登録免許税・不動産取得税)相続より割高になりやすい
相続時精算課税の選択は慎重に一度選ぶと暦年課税に戻れない
遺留分への影響贈与が特別受益とみなされる場合あり

Bushizo相続相談室への無料相談のご案内

「うちの場合は生前贈与と相続、どちらが有利なの?」——この問いに、一律の答えはありません。財産の規模、不動産の評価額、家族構成、そして今後の地価動向まで、個別の事情を踏まえた試算と判断が必要です。

Bushizo相続相談室(品川区天王洲)では、宅地建物取引士が不動産の観点から整理し、税理士・司法書士・弁護士と連携して、贈与・相続どちらが得かをトータルでご検討いただけます。「売却を急かさない」姿勢で、じっくり一緒に考えます。

まずはお気軽にご相談ください。 無料相談はこちら → お問い合わせフォーム / 050-5527-6414


よくある質問(FAQ)

Q1. 不動産の生前贈与は、現金の贈与と何が違いますか?

A. 現金と異なり、不動産の贈与では不動産取得税(評価額の一定割合)と登録免許税(固定資産税評価額の2.0%)が発生します。また、贈与税の計算基準は「固定資産税評価額」や「路線価」が用いられるため、売買価格とは異なります。現金より手続きコストが大きくなる点に注意が必要です。

Q2. 親から子への不動産贈与で、贈与税を0円にする方法はありますか?

A. 完全にゼロにするのは一般的には難しいケースが多いですが、相続時精算課税の2,500万円特別控除(+年110万円基礎控除)を活用することで、一定金額まで贈与税を抑えることが可能です。ただし、後の相続時に精算が必要な点、および一度選択すると変更できない点を理解した上で判断が必要です。税理士へのご相談をお勧めします。

Q3. 2024年の「7年加算ルール」は、過去の贈与にも遡って適用されますか?

A. 2024年1月1日以降に行われた贈与が対象です。2023年12月31日以前の贈与については、従来通り「相続前3年以内」のルールが適用されます。経過措置があるため、具体的な贈与の時期によって扱いが変わります。詳細は税理士にご確認ください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務判断を行うものではありません。具体的なご状況については、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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