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親の年金は相続できる?受け取り方と手続きの完全ガイド

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
親の年金は相続できる?受け取り方と手続きの完全ガイド

親の年金は「相続財産」にならない——まずここを押さえよう

「親が亡くなったら、もらい損ねた年金はどうなるの?」

ご両親が亡くなった直後、葬儀や役所手続きに追われながらも、こうした疑問を抱く方は非常に多くいらっしゃいます。年金は毎月(または隔月)振り込まれる大切な収入ですが、死亡時点で「まだ受け取っていない分」や「これから受け取れるはずだった分」が残っているケースがほとんどです。

結論からお伝えすると、親の年金を「相続財産として遺産分割の対象にする」ことは原則できません。 ただし、受け取れる可能性があるお金は2種類あり、それぞれ手続き・受取人・課税関係が異なります。この違いを整理せずに進めると、手続き漏れや家族間の誤解につながります。

この記事では、相続に伴う年金の扱いを図解的に整理しながら、揉めやすいポイントと予防策までわかりやすく解説します。


親が亡くなったときの「年金まわりのお金」は2種類ある

まず全体像を把握しましょう。年金に関連して受け取れる可能性があるお金は、大きく以下の2種類です。

種類内容受取人性質
未支給年金亡くなった時点で受け取っていなかった年金一定範囲の遺族(生計同一)相続財産ではなく「遺族固有の権利」
遺族年金亡くなった方の年金加入歴に基づき遺族が受給配偶者・子など(要件あり)相続財産ではなく「遺族固有の権利」

どちらも「相続財産ではない」という点が重要です。遺産分割協議の対象にはならず、受け取る権利を持つ人が個別に手続きをする必要があります。


①未支給年金——死亡後に振り込まれた年金はどうなる?

未支給年金とは

年金は「後払い」です。たとえば2月分の年金は4月に支払われます。親が3月に亡くなった場合、2月分・3月分がまだ支払われていない状態になります。これを未支給年金といいます。

誰が受け取れるか

未支給年金を請求できるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた以下の遺族です(優先順位順)。

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹
  5. 上記以外の3親等内の親族(2019年以降追加)

**「生計同一」**の解釈は同居が基本ですが、別居していても仕送りの実態があれば認められるケースもあります。判断が難しい場合は年金事務所への確認が必要です。

手続きと課税の注意点

  • 手続き先:亡くなった方が国民年金なら市区町村窓口、厚生年金なら年金事務所へ「未支給年金請求書」を提出
  • 期限:死亡翌日から5年以内(時効あり)
  • 税金:未支給年金は受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象になります(相続税ではありません)

⚠️ 死亡後に故人の口座に振り込まれた年金を引き出してしまうと、後日返還を求められるケースがあります。金融機関への死亡通知は慎重なタイミングで行いましょう。


②遺族年金——親の死後、配偶者や子が受け取れる年金

遺族年金の種類と受給要件

遺族年金は、故人の年金加入状況によって2種類に分かれます。

種類対象となる故人主な受給者ポイント
遺族基礎年金国民年金加入者子のある配偶者、または子子が18歳年度末まで(障害がある場合は20歳まで)
遺族厚生年金厚生年金加入者配偶者(子がいなくても受給可)、子、父母など配偶者は原則65歳まで、または終身

親が会社員だった場合は遺族厚生年金が対象になることが多く、配偶者(もう一人の親)が受給できるケースがほとんどです。

子(相続人)が受け取れるケース

遺族基礎年金では「子のある配偶者」または「子」が受給対象です。しかし、ここでいう「子」には年齢要件があるため、成人した子どもが親の死後に遺族年金を受け取ることは基本的にできません

一方、遺族厚生年金では配偶者がいない場合などに子・孫・父母が受給者になるケースもあります。要件が複雑なため、必ず年金事務所で確認しましょう。


揉めやすいポイントと予防策——家族間トラブルを防ぐために

よくあるトラブル①「年金が振り込まれたお金を使ってしまった」

死亡後に故人の口座に振り込まれた年金は、本来返還が必要です。知らずに引き出して使ってしまい、後から問題になるケースがあります。

予防策:死亡の届け出と並行して、年金事務所への「受給停止手続き」を速やかに行いましょう。

よくあるトラブル②「未支給年金を誰が受け取るかで揉めた」

未支給年金は「生計同一の遺族」のうち最優先順位の方が受け取ります。同順位が複数いる場合(例:子が複数)は代表者がまとめて請求し、分配します。「自分が請求した」「あの人だけが受け取った」という不満が生まれやすいです。

予防策:手続きの前に家族間で情報を共有し、誰が窓口になるかを話し合っておきましょう。

よくあるトラブル③「遺族年金が相続財産と混同された」

遺族年金は相続財産ではないにもかかわらず、「お母さんがもらっている遺族年金は遺産の一部では?」と誤解するケースがあります。これは遺産分割の対象にはなりません。

予防策:相続財産と遺族固有の権利をきちんと分けて整理することが重要です。相続開始後に財産リストを作る際は、専門家のサポートを受けると安心です。

手続きのスケジュール感

タイミングやること
死亡後すみやかに年金事務所・市区町村へ受給停止の届け出
同時並行で未支給年金の請求(5年以内)
要件確認後遺族年金の請求手続き
相続手続きと並行遺産分割協議(年金は対象外と整理する)

年金と相続税・所得税の関係を整理する

年金にまつわるお金の課税関係は複雑なので、ここでまとめます。

お金の種類課税区分備考
未支給年金所得税(一時所得)相続税の課税対象外
遺族年金非課税(所得税・相続税ともに)社会保険の給付として非課税扱い
生命保険の死亡保険金相続税(みなし相続財産)非課税枠あり(500万円×法定相続人数)

遺族年金が非課税なのは大きなメリットですが、金額や受給期間は個人の状況によって大きく異なります。ご自身のケースでどの程度受け取れるかは、年金事務所への確認または「ねんきんネット」の活用をおすすめします。


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よくある質問(FAQ)

Q1. 親が亡くなった月の年金は受け取れますか?

A. 年金は「後払い」のため、死亡した月の分は翌月以降に未支給年金として請求できます。死亡届の提出と同時に年金の受給停止手続きを行い、その後「未支給年金請求書」を提出しましょう。請求期限は死亡翌日から5年以内です。

Q2. 遺族年金は確定申告が必要ですか?

A. 遺族年金は所得税が非課税のため、遺族年金のみを受け取っている場合は確定申告不要です。ただし、遺族年金を受け取りながら別途給与所得や事業所得がある場合は、合算して申告が必要になるケースがあります。ケースによりますので、詳細は税理士または税務署にご確認ください。

Q3. 親の年金口座に残っているお金は相続財産になりますか?

A. 年金そのものは相続財産ではありませんが、口座に振り込まれて残っている現金は相続財産に含まれます。死亡後に振り込まれた年金分は返還が必要ですが、生前に振り込まれた分(残高)は遺産分割の対象です。金融機関口座の凍結前後のお金の動きには注意が必要です。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法務・税務判断を行うものではありません。具体的なご事情については、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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