生前贈与とは?2024年からの7年ルールをわかりやすく解説
「早めに子どもに渡したい」——でも何から始めればいい?
「財産のことを元気なうちに整理しておきたい」「子どもや孫に少しずつ渡してあげたい」——そんな気持ちで生前贈与を調べ始めた方は多いのではないでしょうか。あるいは、親の相続を経験して「自分はもっとスムーズに準備しておこう」と思った方もいるかもしれません。
品川・大田・港区エリアでも、マンションや実家の土地を抱えながら「子どもに少しずつ渡せるか」と相談に来られる方は少なくありません。
まず結論からお伝えします。生前贈与は有効な相続対策の一つですが、2024年から「相続前7年以内の贈与は相続財産に加算される」新ルールが始まりました。以前より早めに・長期的に計画することが、これまで以上に重要になっています。
この記事では、生前贈与の基本的な仕組みから2024年改正のポイント、注意すべき落とし穴までをわかりやすく整理します。
生前贈与とは何か——基本をおさらい
生前贈与(せいぜんぞうよ)とは、財産を持つ人(贈与者)が生きている間に、相手(受贈者)に無償で財産を渡すことです。
相続は亡くなった後に財産が移転しますが、生前贈与は生前に意図的に財産を移すことができるため、相続財産の総額を減らす効果があります。結果として相続税の負担軽減が期待できることから、相続対策の定番として広く活用されてきました。
贈与の対象は現金・預貯金だけでなく、土地・建物などの不動産、株式、保険なども含まれます。ただし、渡す財産の種類によって税の計算方法や注意点が異なります。
贈与税の基本——年110万円の非課税枠
贈与を受けた人(受贈者)には原則として贈与税がかかります。贈与税の計算には主に「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方式があります。
暦年課税(れきねんかぜい)
1月1日〜12月31日の1年間に受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば贈与税はかかりません(基礎控除)。これが「年間110万円まで非課税」としてよく知られる仕組みです。
110万円を超えた部分には税率がかかりますが、その税率は贈与額や贈与者との関係(一般税率・特例税率)によって異なります。
相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)
60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与に選択できる制度です。累計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた分は一律20%課税されます。ただし、贈与した財産は相続発生時に相続財産に持ち戻して相続税が計算されます。
2024年1月からは年間110万円の基礎控除が相続時精算課税にも追加されました(この110万円分は相続時の持ち戻し対象外)。
2024年から変わった「7年ルール」とは
ここが今回最も重要なポイントです。
改正前は「3年ルール」だった
これまでの制度では、相続発生前3年以内に行われた贈与は、相続財産に加算して相続税を計算するというルールがありました(生前贈与加算)。
つまり、亡くなる3年より前に渡した分は相続税の対象外でした。
2024年1月から「7年ルール」に延長
2024年1月1日以降の贈与分から、この持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。
具体的には、相続発生日から遡って7年以内に行われた贈与は、原則として相続財産に加算されます(延長された4年分=4〜7年前の贈与については、合計100万円までは加算対象外という緩和措置あり)。
| 項目 | 改正前(〜2023年末) | 改正後(2024年1月〜) |
|---|---|---|
| 持ち戻し期間 | 相続前3年以内 | 相続前7年以内 |
| 対象外の緩和措置 | なし | 延長4年分は100万円まで除外 |
| 対象となる贈与 | 相続人への暦年贈与 | 相続人への暦年贈与(同左) |
何が変わるのか——実際の影響
たとえば、これまでは「亡くなる3年前から110万円ずつ渡せば節税になる」という計算が成り立ちました。しかし7年ルールの下では、同じ計画では最大7年分が相続財産に戻されてしまいます。
「早めに始めれば始めるほど有利」という構造は変わっていません。むしろ、7年より前から計画的に贈与を積み重ねることの重要性が高まりました。
70代の方であれば、今すぐ始めることが対策の第一歩と言えます。
生前贈与でよくある3つの落とし穴
計画を立てる前に、事前に知っておくべき注意点があります。
1. 「名義預金」になっていないか
子や孫の名義で口座を作って毎年積み立てていても、**実際に本人が自由に使える状態でなければ「名義預金」とみなされ、贈与と認められない場合があります。**贈与契約書を毎年作成し、受贈者が通帳・印鑑を管理するなどの対策が一般的です。
2. 定期贈与とみなされるリスク
「毎年110万円ずつ10年間渡す」と最初から決めていた場合、税務署から「最初から1,100万円を渡す予定だったのでは」と判断され、贈与税が課されるリスクがあります。毎年別々の意思決定として行うことが重要です。
3. 不動産贈与は登録免許税・不動産取得税がかかる
不動産を贈与する場合、相続で取得する場合に比べて**登録免許税や不動産取得税の負担が大きくなるケースがほとんどです。**節税になるはずが、かえってコストがかかることもあります。贈与か相続かの選択は、専門家に試算してもらうことをおすすめします。
暦年贈与 vs 相続時精算課税——どちらを選ぶべき?
2つの課税方式をシンプルに比較します。
| 比較項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 年間非課税枠 | 110万円 | 110万円(2024年〜新設) |
| 累計非課税枠 | なし(毎年110万円) | 2,500万円 |
| 相続時の持ち戻し | 7年以内の贈与分 | 原則全額(110万円超部分) |
| 選択の取り消し | 毎年選べる | 一度選択すると取り消し不可 |
| 向いているケース | 長期・少額の贈与 | 一度にまとめて渡したいとき |
どちらが有利かは、贈与する財産の種類・金額・贈与者の年齢・相続財産全体の規模によって大きく異なります。ケースによっては、どちらかに固執せず組み合わせることも選択肢の一つです。
相談は早ければ早いほど選択肢が広がる
生前贈与の最大のメリットは、時間をかけて計画的に財産を移転できることです。7年ルールを踏まえると、対策の有効期間はさらに長く見る必要があります。「来年考えればいい」を繰り返すことで、できることが少なくなっていきます。
「うちは大した財産がないから」と思っていても、都心部・城南エリアの不動産は評価額が高く、相続税の課税対象になるケースが少なくありません。まずは現状の財産規模と、何ができるかを整理するだけでも価値があります。
Bushizo相続相談室(品川広域センター)では、宅地建物取引士が窓口となり、税理士・司法書士・弁護士と連携して生前対策から不動産の整理・売却まで一括してサポートしています。売却を急かすことなく、じっくりとお話を聞きますので、まずはお気軽にご相談ください。
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よくある質問
Q1. 生前贈与は毎年必ず110万円まで渡さないといけないですか?
A. いいえ、110万円は上限であって義務ではありません。その年の事情に応じて50万円でも30万円でも構いません。大切なのは、毎年贈与の都度、贈与者・受贈者双方の意思に基づいて行うことです。
Q2. 7年ルールは2023年以前に行った贈与にも遡って適用されますか?
A. 2024年1月1日以降に行われた贈与から新ルールが適用されます。2023年以前の贈与については、従来の3年ルールが適用されます。ただし、今後相続が発生するタイミングによって計算が複雑になる移行期間がありますので、専門家への確認をおすすめします。
Q3. 孫への贈与も7年以内は持ち戻しの対象になりますか?
A. 孫が相続人でない場合(たとえば子が存命で孫は相続人でないケース)は、原則として生前贈与加算の対象外です。ただし、孫が遺言等で遺贈を受けたり、代襲相続人になる場合などは対象になることがあります。ケースによって判断が異なりますので、個別に専門家へご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の個人・案件に対する法律・税務アドバイスではありません。実際の贈与・相続対策の判断については、司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。