手続き全般

相続 財産目録の作り方と活用法 | 遺産整理を確実に進める手順

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
相続 財産目録の作り方と活用法 | 遺産整理を確実に進める手順

「どの財産が、どれだけある?」から相続はスタートする

親が亡くなり、「さて相続の手続きを…」と動き始めようとしたとき、最初の壁になるのが「そもそも何が遺産として存在するのかわからない」という問題です。

通帳はどこにある?不動産の名義は?借入れはないか?──家族でも意外と知らない情報ばかりで、途方に暮れる方は少なくありません。

結論から言えば、相続手続きを進める最初の一歩は「財産目録の作成」です。 財産目録とは、被相続人(亡くなった方)が残した財産と負債を一覧にまとめた文書のことで、これがあるかないかで、その後の遺産分割協議・相続税申告・名義変更の効率が大きく変わります。

この記事では、財産目録の基本から作り方・注意点まで、相続に不慣れな方にもわかりやすく解説します。


財産目録とは何か?法的な位置づけと役割

財産目録は、法律上「必ず作らなければならない」書類ではありません。しかし、家庭裁判所への提出や金融機関との手続き、遺産分割協議の場で事実上必要となる場面が多く、実務では欠かせない文書です。

財産目録が必要になる主なタイミング

場面詳細
遺産分割協議相続人全員で「何をどう分けるか」を話し合う前提として必要
相続放棄・限定承認家庭裁判所への申述に際して財産状況の把握が不可欠
相続税申告税務署への申告書に財産の一覧を記載する
相続登記(不動産)2024年4月から義務化。不動産の特定が必要
金融機関での解約・名義変更各機関への手続きで対象口座・証券の特定が必要

特に2024年4月から相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると過料の対象になりえます。不動産を確実に把握するためにも、財産目録の早期作成は重要です。


財産目録に記載すべき項目一覧

財産目録には「プラスの財産(積極財産)」と「マイナスの財産(消極財産)」の両方を記載します。片方だけでは正確な相続の姿が見えません。

プラスの財産(積極財産)

財産の種類記載内容の例
不動産所在地・地番・家屋番号・地積・床面積・評価額(固定資産税評価額など)
預貯金金融機関名・支店名・口座種別・口座番号・残高
有価証券証券会社名・銘柄・株数・評価額
生命保険保険会社名・証券番号・保険金額(受取人によっては遺産に含まれない場合あり)
自動車・貴金属等車種・車台番号・評価額、金・宝石・骨董品など
貸付金・売掛金相手方・金額・証拠書類の有無

マイナスの財産(消極財産)

負債の種類記載内容の例
借入金金融機関名・残高・借入日
住宅ローン借入先・残高・抵当権の有無(団体信用生命保険による消滅確認も重要)
未払税金・公共料金固定資産税・住民税の未払分など
保証債務誰のために保証人になっているか
未払医療費入院費・治療費の未精算分

マイナスの財産を見落とすと、相続放棄の判断を誤るリスクがあります。 期限(相続開始を知った日から原則3か月以内)に間に合わなくなることもあるため、早めの確認が肝心です。


財産目録の作り方:収集すべき書類と調査方法

ステップ1|手元にある書類を集める

まずは自宅や仏壇まわり、金庫などを確認します。

  • 不動産の権利証(登記識別情報)
  • 固定資産税の課税明細書(毎年春ごろ届く)
  • 通帳・キャッシュカード・証券口座の書類
  • 生命保険証券
  • 借入の返済明細書・消費貸借契約書
  • 確定申告書・源泉徴収票(収入・資産の手がかり)

ステップ2|公的機関で調査する

調査内容調査先
不動産の有無・名義確認法務局(登記事項証明書、名寄帳は市区町村)
預貯金・口座の有無各金融機関(相続手続きの窓口へ残高証明書を請求)
株式・投資信託証券会社または信託銀行
生命保険の照会「生命保険契約照会制度」(生命保険協会)を利用可能
借入の照会「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」等への開示請求

品川・大田・港区にお住まいの場合、管轄の法務局(東京法務局)でのオンライン登記情報確認も活用できます。固定資産の名寄帳は各区役所の税務課で取得できます(相続人であることを証明する戸籍謄本が必要)。

ステップ3|一覧表にまとめる

収集した情報をExcelや手書きの一覧表に整理します。法定の書式はないため、自由形式で構いません。ただし、相続人全員が確認できるよう、見やすく・誰が作ったかわかるよう記名・日付を記入することを心がけましょう。


財産目録作成で注意すべき3つのポイント

1. 生前贈与も確認する(7年ルールに注意)

2024年1月以降の贈与から、生前贈与加算のルールが変わりました。従来は相続開始前3年以内の贈与が相続税の課税対象に加算されていましたが、段階的に延長され、最終的には7年以内の贈与が加算対象となります(経過措置あり)。過去の贈与記録も財産目録に付記しておくと、税理士との連携がスムーズです。

2. 名義が「故人以外」でも遺産になりうる

預金口座の名義が子ども名義でも、実態は被相続人が出捐・管理していた場合は「名義預金」として遺産に含まれる可能性があります。税務調査でも問題になりやすいため、ケースによっては税理士への相談が必要です。

3. デジタル資産も忘れずに

ネット銀行・ネット証券・仮想通貨・電子マネー・ポイント等は通帳がないため見落とされがちです。スマートフォンのアプリやメールの受信履歴から手がかりをたどる方法もあります。


財産目録は「一人でやらなくていい」

財産目録の作成は情報収集から始まり、場合によっては法務局や各金融機関への問い合わせを何度も繰り返す手間がかかります。複数の不動産がある場合や、被相続人が個人事業主だった場合、借入先が複数ある場合などは特に複雑になります。

Bushizo相続相談室(品川広域センター)では、宅地建物取引士が窓口となり、司法書士・税理士・弁護士と連携してワンストップで対応しています。 「まず何から手をつければよいか」という段階からご相談いただけます。売却を急かすことなく、皆さんの状況に合ったペースで一緒に整理していきます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 財産目録は相続人の誰が作成しなければなりませんか?

法律上、作成義務者は定められていません。一般的には、相続手続きを主導する相続人(代表相続人)や、委任を受けた専門家(司法書士・行政書士など)が作成します。遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者が作成義務を負うケースがあります(民法第1011条)。

Q2. 財産目録の作成にどのくらい時間がかかりますか?

財産の種類・数によって大きく異なりますが、一般的なご家庭でも金融機関への残高証明書請求や不動産の調査を含めると1〜2か月程度かかることは珍しくありません。相続税申告が必要な場合は申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)から逆算して早めに動くことが重要です。

Q3. 財産目録に記載漏れがあった場合はどうなりますか?

遺産分割協議後に新たな財産が発見された場合、その財産については改めて分割協議を行う必要があります。また、相続税申告後に財産が発覚した場合は修正申告が必要になることがあります。重大な隠匿があった場合は法的トラブルに発展することもあるため、できる限り網羅的に調査することが大切です。


本記事は一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の相続手続きや税務・法務上の判断については、司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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