相続で現金はどう扱う?基本ルールと手続きを徹底解説
亡くなった親の家から現金が出てきた…どうすればいい?
親が亡くなり、実家の整理をしていたら、タンスや引き出しから大量の現金が出てきた――そんな経験をされる方は少なくありません。また、通帳を整理していたら、知らない口座に多額の残高があったというケースも。
「これは相続税の申告が必要?」「兄弟でどう分ければいい?」「申告しなくてもバレないのでは?」
こうした疑問や不安を抱えたまま、どこに相談すればいいかわからず、インターネットで検索される方が多くいらっしゃいます。
結論から言うと、相続で発見した現金は原則としてすべて遺産に含まれ、遺産分割と相続税申告の対象になります。 金額や状況によっては申告が不要なケースもありますが、「バレないだろう」という判断は税務調査のリスクを高めるだけです。
この記事では、相続における現金の扱い方を基礎からわかりやすく解説します。
現金は「遺産」に含まれる|基本的な考え方
相続財産には、不動産・預貯金・有価証券などのほかに、現金(手元の紙幣・硬貨)も含まれます。 被相続人(亡くなった方)が所有していた現金は、死亡した瞬間に相続財産となり、相続人全員の共有財産となります。
相続財産に含まれる現金の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- タンス・金庫・引き出しの中の紙幣・硬貨
- 死亡直前に銀行口座から引き出された現金
- 自宅に保管されていた外貨(外国紙幣)
- 貸金庫の中の現金
一方、以下のものは原則として相続財産に含まれません(ただしケースによります)。
- 被相続人が生前に適法に贈与した現金(ただし生前贈与加算の対象になる場合あり)
- 死亡保険金(受取人固有の財産とされるが、みなし相続財産として相続税の対象)
現金は不動産と違い登記記録がなく、金融機関の履歴もないため、「隠せる」と思いがちです。しかし税務署は相続税調査において現金の動きを詳細に確認します。過去の入出金履歴や、財産額と生活水準のバランスから不自然な現金の存在を把握します。
現金の遺産分割|どう分ければいい?
現金は不動産と違い、物理的に分けやすい財産です。遺産分割協議において、相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分けることも可能です。
法定相続分の目安
| 相続人の構成 | 配偶者 | 子 |
|---|---|---|
| 配偶者+子 | 1/2 | 1/2(人数で均等割) |
| 配偶者のみ | 全部 | ― |
| 子のみ | ― | 全部(人数で均等割) |
たとえば、相続財産に現金500万円と不動産があった場合、「不動産は長男が取得し、現金500万円は次男が取得する」という形での合意も可能です。
現金の分割方法としては主に以下の3パターンがあります。
- 現物分割:現金をそのまま相続分に応じて分ける(最もシンプル)
- 代償分割:不動産などを取得した相続人が、他の相続人に現金を支払う
- 換価分割:不動産などを売却して現金化し、分配する
なお、遺産分割協議がまとまるまでは、発見した現金を勝手に使うことは避けてください。他の相続人の同意なく現金を費消した場合、トラブルや法的問題に発展するケースがあります。
相続税の申告は必要?|基礎控除と申告期限
発見した現金も含めて相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要です。
基礎控除の計算式
基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
たとえば相続人が配偶者と子2人の計3人であれば、基礎控除は4,800万円。現金・不動産・預貯金などすべての相続財産の合計がこれを下回れば、原則として相続税の申告は不要です。
ただし、**申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」**です。この期限を過ぎると延滞税・加算税が発生する場合があります。
2024年からの生前贈与加算の変更点
2024年(令和6年)1月1日以降の贈与から、生前贈与加算の持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。つまり、被相続人が亡くなる前の7年以内に現金を贈与していた場合、その贈与額が相続財産に加算される可能性があります(段階的に延長されます)。
「生前に現金を渡してあるから相続財産は少ない」と考えていた方は、この改正の影響を確認することをおすすめします。
要注意!名義預金と「隠れた現金」のリスク
相続において現金に関連するトラブルで特に多いのが名義預金の問題です。
名義預金とは、たとえば「子や孫の名義で口座を開設し、実際には被相続人が管理・使用していた預金」のことです。名義は子や孫であっても、税務署は実質的な管理者や資金の出所を確認し、被相続人の財産と判断する場合があります。
名義預金と判断されやすいケース
- 子・孫が口座の存在を知らなかった
- 通帳・印鑑を被相続人が管理していた
- 口座への入金が被相続人の収入・引き出しと一致している
- 贈与契約書がなく、贈与の事実が証明できない
品川・大田・港エリアでも、相続税の税務調査で名義預金が指摘されるケースはあります。現金の管理状況や贈与の記録については、できるだけ早めに整理しておくことが重要です。
また、死亡直前に口座から引き出された現金も税務署の目が向きやすいポイントです。被相続人の入院中や死亡直前の大口引き出しについては、その使途(医療費・葬儀費用など)を明確にしておく必要があります。
現金の相続手続き|ステップと注意点
現金を含む相続の手続きは、おおむね以下の流れになります。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ① 死亡届の提出 | 市区町村への届出 | 死亡後7日以内 |
| ② 遺言書の確認 | 公正証書遺言・自筆証書遺言の確認 | なるべく早めに |
| ③ 相続人の確定 | 戸籍収集による相続人の確認 | 1〜2か月 |
| ④ 財産調査 | 現金・預貯金・不動産・負債のすべてを把握 | 1〜3か月 |
| ⑤ 遺産分割協議 | 相続人全員で分割方法を話し合い、協議書を作成 | 期間は状況による |
| ⑥ 相続税申告・納付 | 税理士と連携して申告書を作成・提出 | 死亡翌日から10か月以内 |
現金については④の財産調査の段階で正確に把握し、金額を協議書に明記することが重要です。「現金は各自が持っている分でOK」という曖昧な処理は、後のトラブルや税務調査での問題につながります。
現金の相続でお困りの方は、まずご相談ください
「家に大量の現金があったがどう申告すればいいかわからない」「死亡前に口座から引き出した現金の扱いが不安」「名義預金があるかもしれない」――こうしたお悩みは、税理士・司法書士・弁護士と連携したワンストップ対応が可能なBushizo相続相談室にご相談ください。
売却を急かさず、お客様のペースに合わせた丁寧なサポートが私たちの信条です。品川・大田・港エリアを中心に、全国の相続不動産・金融資産のご相談に対応しています。
無料相談はこちら → お問い合わせフォーム お電話でのご相談:050-5527-6414
よくある質問
Q1. タンスから出てきた現金は、少額でも申告が必要ですか?
A. 一般的には、現金を含むすべての相続財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に申告が必要です。現金単体の金額が少なくても、他の財産との合算で基礎控除を超える場合は申告対象となります。少額だからといって申告から除外するのは税務上のリスクがあります。
Q2. 被相続人が死亡する直前に引き出した現金は、相続財産になりますか?
A. なります。死亡直前の口座引き出しで取得した現金は、被相続人の財産として相続財産に含まれます。税務調査では死亡前後の口座の入出金履歴が詳しく確認されます。その現金の使途(医療費・葬儀費用など)を明確にしておくことが重要です。
Q3. 生前に親から現金をもらっていましたが、相続税に影響しますか?
A. 2024年1月1日以降の贈与については、被相続人の死亡前7年以内の贈与が相続財産に加算される制度改正が行われました(段階的に7年に延長)。年間110万円以下の贈与でも、この加算ルールの対象になる場合があります。具体的な影響は税理士にご確認ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務判断の根拠となるものではありません。具体的な手続きや判断については、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。