手続き全般

相続財産調査の費用はいくら?内訳・相場・節約術を解説

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
相続財産調査の費用はいくら?内訳・相場・節約術を解説

「財産がどこにあるかわからない」——その悩み、まず費用の全体像を把握することから始めよう

身内が亡くなり、悲しみが癒えないうちに「遺産の調査をしなければ」というプレッシャーに直面する方は少なくありません。預金通帳は見つかったけれど、不動産の登記はどうなっているのか、証券口座は他にもあるのか、借金はないか——調べるべき項目が多すぎて途方に暮れるケースは非常に多いです。

結論からお伝えすると、相続財産調査にかかる費用は「自分で動けばほぼ実費のみ(数千〜2万円程度)」ですが、専門家に依頼すると「3万〜20万円程度」が目安です。 ただし財産の種類や複雑さによって大きく変わります。

この記事では費用の内訳・相場を表で整理したうえで、「どこまで自分でできるか」「専門家に頼むべき分岐点はどこか」「費用を抑えるコツ」を具体的に解説します。


相続財産調査とは何を調べるのか

財産調査とは、被相続人(亡くなった方)が保有していた**プラスの財産とマイナスの財産(負債)**をすべて洗い出す作業です。相続放棄(3か月以内)や相続税申告(10か月以内)の期限が迫るなか、正確な財産の全体像を把握しないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。

主な調査対象は以下のとおりです。

財産の種類主な調査先・方法
不動産(土地・建物)法務局で登記簿謄本・名寄帳を取得
預貯金各金融機関に残高証明書を請求
有価証券・投資信託証券会社・信託銀行に照会
生命保険各保険会社・生命保険契約照会制度を利用
自動車・貴金属等陸運局・市場価格で評価
借金・未払い税金信用情報機関(CIC・JICC等)への照会
年金・未支給給付年金事務所に確認

2024年4月から相続登記の申請が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象となる場合があります。不動産の有無を早期に確認することが、これまで以上に重要です。


自分で調査する場合の費用内訳と相場

「まずは自分でできる範囲を動いてみたい」という方のために、主な手続きごとの実費をまとめます。

調査項目費用(目安)取得場所
不動産登記簿謄本(1通)480〜600円法務局・登記情報提供サービス(オンライン)
固定資産評価証明書(1通)200〜400円市区町村役場
名寄帳(全物件一覧)200〜300円市区町村役場
戸籍謄本(1通)450〜750円本籍地の市区町村
残高証明書(金融機関ごと)0〜1,100円程度各金融機関(無料〜有料)
生命保険契約照会制度3,000円(一括照会)生命保険協会
信用情報照会(CIC)1,000円程度郵便・オンライン

自分で調査する場合の合計費用は、一般的な家庭であれば5,000〜20,000円程度が目安です。ただし平日に役所や法務局を複数回まわる時間コストを忘れてはいけません。品川・大田・港区エリアの場合、管轄法務局(東京法務局など)への出向が必要になることもあります。


専門家に依頼する場合の費用相場

財産の種類が多い・不動産が複数ある・相続人が複数いるなど、複雑なケースでは専門家への依頼が現実的です。依頼先によって費用と対応範囲が異なります。

依頼先財産調査の費用目安得意な領域
司法書士3万〜10万円程度不動産登記・戸籍調査
税理士相続税申告料に含む場合が多い税務上の財産評価
弁護士5万〜20万円程度(遺産総額により変動)争いがある場合・交渉全般
行政書士2万〜8万円程度書類収集・戸籍調査
相続診断士・FP1万〜5万円程度資産整理・相談

※上記はあくまで目安です。事務所・財産規模・依頼範囲によって大幅に変わります。複数の専門家に見積もりを取ることをおすすめします。

相続税がかかる場合は税理士との連携が不可欠

2024年1月以降、生前贈与の相続財産への加算期間が3年から最長7年へ段階的に延長されています(2031年1月以降の相続から完全適用)。過去の贈与記録が課税評価に影響するため、税理士による財産調査・評価が欠かせない場面が増えています。


費用を安く抑える3つのコツ

1. できる調査は自分で行い、専門家には「まとめて依頼」する

戸籍謄本の収集や金融機関への照会など、手間はかかっても難易度が低い作業は自分で行いましょう。専門家への依頼範囲を「登記変更のみ」「申告書作成のみ」に絞ることで費用を圧縮できます。

2. ワンストップ対応の窓口を利用する

司法書士・税理士・弁護士それぞれに個別に依頼すると、それぞれに費用が発生します。複数の専門家が連携したワンストップ窓口を利用すれば、情報共有コストが削減され、全体費用が抑えられるケースがあります。

3. 早めに動いて「急ぎ対応料金」を避ける

相続放棄の3か月・相続税申告の10か月という期限が迫ってからの依頼は、割増料金になる事務所もあります。被相続人が亡くなってから1〜2か月以内に調査を開始するのが理想です。


専門家に任せるべき「分岐点」はここ

自分で調査を進めるか専門家に頼むかの判断基準として、以下を参考にしてください。

→ 自分で対応できるケース

  • 財産が預貯金と自宅不動産のみ
  • 相続人が配偶者・子のみで争いなし
  • 相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)以下の財産規模

→ 専門家に相談すべきケース

  • 不動産が複数・名義が古い・所在が不明
  • 相続人に行方不明者・未成年者・認知症の方がいる
  • 相続税申告が必要な規模(基礎控除超え)
  • 生前贈与の記録が複雑・7年以内の贈与がある
  • 被相続人に借金がある可能性がある
  • 相続人間で意見の相違がある

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よくある質問

Q1. 財産調査は相続人全員でやる必要がありますか?

A. 一般的には、各相続人が個別に調査を進めることも可能です。ただし、金融機関への残高証明書請求など、相続人であることを証明する戸籍書類の提出が必要なケースがほとんどです。複数の相続人がいる場合は、代表者を決めて効率よく動くことをおすすめします。

Q2. 財産調査で借金が見つかった場合はどうなりますか?

A. プラスの財産よりも借金が多い場合は「相続放棄」や「限定承認」を検討できます。ただし相続放棄は原則として相続を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。借金の可能性がある場合は早急に専門家へ相談してください。

Q3. 被相続人が複数の市区町村に不動産を持っていた場合、調査はどうなりますか?

A. 名寄帳はそれぞれの市区町村ごとに発行されるため、不動産が所在するすべての自治体に請求する必要があります。また法務局も管轄ごとに異なります。所在地が不明な場合は、固定資産税の納税通知書や過去の確定申告書が手がかりになります。複数の自治体にまたがる場合は専門家への依頼が効率的です。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の法律・税務・登記に関する個別アドバイスを提供するものではありません。実際の手続きや判断については、司法書士・税理士・弁護士等の資格を持つ専門家にご相談ください。

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