手続き全般

合同会社の相続|持分・手続き・注意点をわかりやすく解説

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
合同会社の相続|持分・手続き・注意点をわかりやすく解説

「合同会社の相続って、株式会社と何が違うの?」と感じているあなたへ

親や配偶者が合同会社(LLC)を経営していたとき、相続人として最初に戸惑うのが「持分はどう引き継ぐのか」という点ではないでしょうか。株式会社なら株式を相続すれば権利が移ると理解されていますが、合同会社の場合は仕組みが根本的に異なります。

結論からお伝えすると、合同会社の持分は「定款に別段の定めがない限り、原則として相続人に当然に承継されない」制度設計になっています。 何も対策をしていないと、被相続人の持分は相続人に渡らず、会社から払い戻されるだけで終わってしまう可能性があるのです。

この記事では、合同会社と相続の関係を基礎からわかりやすく解説し、実際にどう動けばよいかの判断軸を示します。


合同会社の「持分」とは何か―株式会社との根本的な違い

合同会社は会社法に定められた持分会社の一種で、社員(出資者=経営者)が会社の意思決定に直接参加します。株式会社の「株式」に相当するのが「持分」ですが、性質が大きく異なります。

比較項目株式会社(株式)合同会社(持分)
相続による当然承継原則あり(株式は相続財産)原則なし(定款の定めが必要)
経営への参加株主≠取締役(分離可能)社員=経営者(一体)
持分・株式の譲渡比較的自由他社員全員の同意が原則必要
登記変更の要否株主変更は登記不要社員変更は登記必要

合同会社では、社員の地位(持分)は「その人個人の信頼関係」を前提としているため、自動的に相続人へ移るわけではないのです。


定款の規定が”すべて”を決める

会社法第608条は次のように定めています。

持分会社は、定款に定めることにより、社員が死亡した場合にその持分を相続人その他の一般承継人が承継できるとすることができる。

つまり、定款に「相続人が持分を承継できる」旨の規定(承継条項)がなければ、持分は自動的に消滅し、会社は相続人に対して持分の払戻しを行うことになります(会社法第608条・第609条)。

定款に承継条項がある場合

相続人は被相続人の持分を承継し、合同会社の社員となる権利を得ます。ただし承継しただけでは社員の地位は確定せず、承継の手続き(定款変更・登記)が必要です。

定款に承継条項がない場合

相続人は持分を承継できず、会社は持分の払戻し(出資額相当の金銭返還)を行います。相続人が事業を引き継ぎたい場合でも、他の社員全員の同意を得て新たに社員加入する手続きが必要になります。

実務ポイント: 被相続人が一人社員(一人合同会社)だった場合、定款に承継条項がなければ、会社は社員不存在となり解散・清算の手続きが必要になることがあります。この場合は早急に専門家へ相談することをおすすめします。


相続発生後の手続きの流れ

合同会社で相続が発生した際の一般的な手続きの流れを示します。

ステップ1:定款の内容を確認する(最優先)

まず会社の定款を取り寄せ、「持分の承継に関する規定」があるかを確認します。登記所に提出された定款(履歴事項全部証明書)でも一部確認できますが、現行定款は会社に保管されています。

ステップ2:相続人・相続分の確定

遺産分割協議を行い、誰が持分を承継するかを決定します。持分は遺産分割の対象となるため、他の相続財産(不動産・預貯金等)とあわせて協議します。

ステップ3:定款変更・社員加入の手続き

承継する相続人が社員として就任する場合、定款変更が必要です。既存社員がいる場合は総社員の同意が必要になるケースがほとんどです。

ステップ4:法務局への変更登記(期限に注意)

社員に変更が生じた場合、変更から2週間以内に法務局へ変更登記を申請する義務があります(会社法第915条)。登記を怠ると過料の対象となりますので注意が必要です。

手続き対応専門家おおよその費用感
定款確認・遺産分割協議書作成司法書士・弁護士数万円〜(内容による)
変更登記申請司法書士実費+報酬(数万円程度)
相続税申告税理士報酬は遺産総額による

※費用はケースにより大きく異なります。事前に専門家へ確認ください。


相続税・税務上の取り扱い

合同会社の持分は、相続税法上「取引相場のない株式等」に準じて評価されます。評価方法は一般的に純資産価額方式が用いられることが多く、会社の純資産額(資産−負債)を基準に持分の価値を算定します。

2024年からの生前贈与加算の注意点

2024年1月1日以降の贈与から、相続前の生前贈与加算期間が従来の3年から最長7年へ段階的に延長されています(令和5年度税制改正)。持分を生前に後継者へ贈与する「生前の事業承継対策」を検討している場合、この改正の影響を踏まえた計画が必要です。

また、会社の規模・業種・純資産の状況によって評価額は大きく変わるため、税務申告は必ず税理士に依頼することを強くおすすめします。

一般的には、被相続人の持分割合に応じた純資産額が相続財産として計上されますが、個別の評価方法はケースによります。


よくあるトラブルと事前対策

トラブル1:定款に何も定めがなく、持分が払い戻されてしまった

特に小規模な合同会社では定款をひな形のまま使っているケースも多く、承継条項がないまま経営者が亡くなると、相続人は経営権を得られません。対策:生前に定款を整備し、承継条項を追加する。

トラブル2:複数の相続人で持分を共有しようとした

持分の共有は会社法上、原則として認められていません。遺産分割協議で承継者を一人に絞るか、一人が代表として権利行使する形にする必要があります。

トラブル3:他の社員が承継に同意しない

他の社員全員の同意が得られない場合、相続人は社員になれないことがあります。この場合は持分の払戻しを受けるか、法的手段を検討することになります。弁護士への相談をおすすめします。


Bushizo相続相談室からのご案内

合同会社の相続は、定款の内容・他の社員の動向・会社の財務状況など、複数の要素が絡み合う複雑なケースが少なくありません。品川・大田・港エリアを中心に、Bushizo相続相談室では司法書士・税理士・弁護士と連携したワンストップ対応で、会社の相続問題もお受けしています。「まず定款を見てほしい」「何から手をつければいいかわからない」という段階からご相談ください。売却や会社整理を急かすことなく、お客様のペースで最善策を一緒に考えます。

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よくある質問

Q1. 合同会社の持分は、遺産分割の対象になりますか?

A. 定款に承継条項がある場合、持分は相続財産に含まれ遺産分割の対象となります。定款に規定がない場合は、持分は消滅して払戻請求権(金銭債権)が相続財産となるケースが一般的です。いずれにせよ、定款の確認が最初のステップです。

Q2. 一人合同会社(社員が被相続人だけ)の場合、会社はどうなりますか?

A. 定款に承継条項がない場合、社員が不在となり、会社は解散事由に該当する可能性があります(会社法第641条)。相続人が事業継続を希望するなら、承継条項の有無の確認と迅速な対応が不可欠です。司法書士または弁護士への早急な相談をおすすめします。

Q3. 合同会社の持分の相続税評価はどのように計算されますか?

A. 一般的には、会社の純資産を基準とした純資産価額方式で評価されることが多いですが、会社の規模や状況によって評価方法は異なります。評価額の算定は専門的な判断が必要なため、税理士に依頼することをおすすめします。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法務・税務判断については、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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