手続き全般

一次相続とは何か?基礎から学ぶ手続きの流れと注意点

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
一次相続とは何か?基礎から学ぶ手続きの流れと注意点

「一次相続」という言葉、正確に理解できていますか?

「一次相続」という言葉を耳にしたことはあっても、「どこからどこまでが一次相続なのか」「二次相続と何が違うのか」と疑問を感じている方は少なくありません。

結論からお伝えすると、一次相続とは「夫婦のどちらか一方が先に亡くなったときに発生する最初の相続」のことです。 そしてその後、残された配偶者が亡くなったときに起きる相続を「二次相続」と呼びます。

一次相続の段階でどのような遺産分割を選ぶかによって、二次相続時の税負担が大きく変わることがあります。また2024年から相続登記の義務化がスタートし、手続きの放置はペナルティにつながる時代になりました。

この記事では、一次相続の基礎知識から手続きの流れ、二次相続を見据えた判断のポイントまで、できるだけわかりやすく解説します。


一次相続とは|二次相続との違いを整理する

一次相続・二次相続のイメージ

用語発生タイミング相続人の例
一次相続夫婦のうち先に亡くなった方が死亡したとき配偶者・子ども
二次相続残された配偶者が亡くなったとき子どものみ(配偶者はすでに死亡)

たとえば「父が先に亡くなり、母と子2人が相続人になる」ケースが一次相続の典型例です。その後、母が亡くなったときが二次相続にあたります。

なぜ一次相続の段階で二次相続を考えるのか

一次相続では、配偶者には「配偶者の税額軽減」という大きな控除制度があります。これは配偶者が取得する遺産が法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額まで、相続税がかからないという制度です。

この制度を最大限活用すると一次相続の税額はゼロになることもありますが、問題は二次相続のときです。配偶者がすでに亡くなっているため、二次相続では配偶者の税額軽減が使えず、相続人が子どものみとなります。基礎控除額も変わるため、トータルの税負担が一次相続で節税しすぎると二次相続で跳ね上がることがあります。

一次相続と二次相続を合わせた「総税負担額」で考えることが重要です。


一次相続の手続きの流れ|期限を把握して確実に進める

相続手続きには法的な期限が設けられているものがあります。見落とすと取り返しのつかないケースもあるため、まず全体像を把握しておきましょう。

主な手続きと期限一覧

手続き期限内容
相続放棄・限定承認相続を知った日から3か月以内借金が多い場合などに検討
準確定申告死亡日から4か月以内故人の所得税の確定申告
相続税の申告・納付死亡日の翌日から10か月以内遺産総額が基礎控除を超える場合
相続登記(義務)相続を知った日から3年以内2024年4月1日より義務化

2024年4月から相続登記が義務化

2024年4月1日以降、不動産を相続した場合は相続を知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上の義務になりました。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があります。

また、2024年4月1日以前に発生した相続で未登記のものも対象となっており、2027年3月31日までに登記が必要です(経過措置期間)。品川区・大田区・港区などの都市部でも、親名義のまま放置された不動産のご相談は多く、早めの対応が求められます。

遺産分割協議の進め方

相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」は、相続手続きの核心です。協議が成立したら遺産分割協議書を作成し、全員の実印・印鑑証明書を添付します。

相続人が一人でも欠けると協議は無効になるため、相続人調査(戸籍の収集)は最初に行うべき作業です。


一次相続における不動産の扱い方|3つの選択肢

相続財産の中でも不動産は「分けにくい」「価値の評価が難しい」という特性があります。一次相続で不動産をどう扱うかは、特に慎重な検討が必要です。

選択肢の比較

方法メリットデメリット・注意点
配偶者が引き継ぐ住み続けられる・配偶者控除を活用しやすい二次相続で子どもの負担が増える可能性
子どもが引き継ぐ二次相続の課税対象から外れる配偶者が住み続ける場合は権利関係の整理が必要
売却して現金化分割しやすい・管理不要譲渡所得税が発生する場合がある
共有名義にする全員が権利を持てる将来の売却・活用時にトラブルになりやすい

共有名義は一見公平に見えますが、将来の売却や活用の際に共有者全員の同意が必要になるため、二次相続・三次相続と代を重ねるほど権利関係が複雑化します。 できるだけ一次相続の段階で解消しておくことが望ましいとされています。

「配偶者居住権」の活用も選択肢のひとつ

2020年4月に施行された配偶者居住権を使うと、配偶者が自宅に住み続ける権利(居住権)と、建物の所有権を分けて相続させることができます。これにより、配偶者の生活を守りながら、子どもが所有権を取得するという設計が可能になります。ただし、税務・法務の両面で専門家への確認が不可欠です。


2024年改正|生前贈与の7年加算ルールと一次相続への影響

2024年1月1日以降の贈与から、生前贈与加算の期間が3年から7年に延長されました。これは相続税の計算において、亡くなる前の一定期間内に行われた贈与を相続財産に加算するルールです。

改正前後の比較

項目改正前改正前後(2024年〜)
加算対象期間死亡前3年以内の贈与死亡前7年以内の贈与
延長分の緩和措置なし延長4年分は総額100万円まで加算対象外

一次相続の被相続人(亡くなった方)が生前に子や孫へ贈与を行っていた場合、その贈与が相続税の計算に含まれる可能性がある期間が長くなりました。一次相続の申告では、過去7年分の贈与履歴の確認が重要になっています。

なお、この改正は2024年1月1日以降の贈与に適用されるため、それ以前の贈与については旧ルールが適用される部分もあります。詳細はケースによって異なるため、税理士への確認をおすすめします。


一次相続で後悔しないための判断チェックリスト

手続きを進める前に、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 相続人全員を把握できているか(前婚の子・認知した子がいないか含む)
  • 遺言書の有無を確認したか(自筆・公正証書・法務局保管の3種類)
  • 不動産の名義・所在地・評価額を調べたか
  • 負債(借金・連帯保証・未払税金)を調査したか
  • 相続放棄の検討が必要か(期限:3か月)
  • 二次相続も含めたトータルの税負担を試算したか
  • 相続登記の申請スケジュールを立てたか

一次相続は「急いで決めなければならないこと」と「じっくり考えるべきこと」が混在しています。期限のある手続きは確実に押さえつつ、遺産分割の内容については焦らず検討することが大切です。


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よくある質問

Q1. 一次相続で配偶者にすべて相続させると相続税はかかりませんか?

配偶者の税額軽減により、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額まで相続税はかかりません。ただし、その分が二次相続の課税対象に含まれるため、一次・二次を合わせたトータルの税負担を試算することが重要です。一次相続だけで判断するのは避けましょう。

Q2. 一次相続の手続きで最も急ぐべきことは何ですか?

まず「相続放棄・限定承認の期限(3か月)」と「準確定申告(4か月)」を確認してください。借金がある場合は特に注意が必要です。相続税の申告は10か月以内ですが、遺産分割の内容が決まらないと申告できないため、早期に動き出すことが大切です。

Q3. 一次相続で不動産の名義変更をしないとどうなりますか?

2024年4月の相続登記義務化により、相続を知った日から3年以内に登記申請をしないと、正当な理由がない場合10万円以下の過料が科される可能性があります。また、未登記のまま放置すると売却・活用ができない、二次相続でさらに手続きが複雑化するなどのリスクがあります。早めの対応をおすすめします。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的として作成しており、特定の法律・税務・法務アドバイスを行うものではありません。個別の状況によって適用される制度や最適な対応は異なります。具体的な判断については、司法書士・税理士・弁護士等の専門家にご相談ください。

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