売却・処分

リースバックとは?仕組みと相続対策での活用・注意点を解説

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
リースバックとは?仕組みと相続対策での活用・注意点を解説

「売りたいけど、住み続けたい」——そのジレンマを解決する仕組みがある

「親の介護費用が急に必要になったが、実家を手放したくない」「相続した不動産の固定資産税が重いが、すぐには売れない」——相続や老後の資金計画に悩む方から、こうしたご相談をよくいただきます。

結論からお伝えすると、「リースバック」はその悩みを解消できる可能性のある仕組みです。

自宅や相続した不動産を売却しながら、同じ物件に賃借人として住み続けられるこの制度は、近年注目度が高まっています。ただし、仕組みへの理解が浅いまま契約すると、後悔につながるリスクもあります。

この記事では、リースバックの基本的な仕組みから、相続対策としての活用法、そして契約前に必ず確認すべき注意点まで、わかりやすく解説します。


リースバックとは何か——基本の仕組みをわかりやすく解説

リースバック(Sale and Leaseback)とは、不動産を不動産会社や投資家などに売却し、売却後もその物件を賃貸として借り続ける契約形態のことです。英語の「売って(Sale)、借り戻す(Leaseback)」がそのまま名称になっています。

取引の流れは以下のとおりです。

ステップ内容
① 売買契約所有者が不動産会社等に物件を売却する
② 賃貸借契約売却と同時に、買主と賃貸借契約を結ぶ
③ 継続居住元の所有者は賃借人として同じ物件に住み続ける
④ 買戻しオプション(任意)契約によっては将来的に買い戻しも可能

売却によってまとまった現金を得ながら、生活環境を変えずに済むことが最大のメリットです。引越し費用や労力も不要で、近隣との関係や通院先も維持できます。品川・大田・港エリアのように交通利便性が高く、長年住み慣れた地域を離れたくない方にとっては、特に現実的な選択肢となりえます。


リースバックの主なメリットとデメリット

メリット

  • まとまった資金をすぐに確保できる:売却代金が一括で入るため、介護費用・相続税の納税・債務返済などに充てられる
  • 住み慣れた自宅に住み続けられる:環境の変化が少なく、高齢者や子どものいる家庭に向いている
  • 不動産管理の手間から解放される:所有権が移転するため、固定資産税の支払いや修繕義務が原則として不要になる
  • 相続登記の義務化に対応できる:2024年4月から相続登記が義務化されたが、リースバックで売却すれば登記問題を解消しやすい

デメリット・リスク

  • 売却価格が市場価格より低くなりやすい:一般的に市場価格の60〜80%程度が目安とされるが、会社によって差がある
  • 家賃が発生し続ける:毎月の賃料負担が生まれる。長期間になると総支払額が売却益を上回るケースもある
  • 契約期間・更新条件に注意が必要:定期借家契約の場合、期間満了後に更新できず退去を求められる可能性がある
  • 買い戻しの保証はないことが多い:買い戻しオプションが付いていても、条件が厳しかったり、業者が倒産するリスクもある

相続対策としてのリースバック活用法

リースバックは、相続前後のさまざまな局面で活用できます。

生前整理・相続税の納税資金確保

親が高齢になり、「自宅を生前に整理しておきたい」というケースでよく検討されます。売却によって現金化しておけば、相続が発生した際に相続人が税金の支払いに困るリスクを減らせます。

なお、2024年から相続財産への生前贈与加算が3年から7年に延長されました。生前の資産移転には時間軸を考慮した計画が一層重要になっています。現金として手元に置いておき、計画的に活用することが対策の選択肢の一つとなりえます。

相続した空き家・実家の活用

相続で取得した実家を誰も住まわせずにいると、固定資産税・維持管理コストが発生し続けます。かといってすぐに売却するのも気が引ける——そんな場合、リースバックの買主側として法人や投資家が物件を取得し、元の相続人が賃借人として住み続ける形を取れる場合もあります。

また、相続人間で「売りたい人」と「住み続けたい人」が対立するケースでも、リースバックを使うことで売却代金を分割しつつ、住みたい相続人が賃借人として残れる可能性があります(ただし、全相続人の合意が必要です)。

遺産分割と流動性の確保

不動産は分割しにくい資産です。相続人が複数いる場合、リースバックで現金化することで遺産分割がスムーズになることがあります。特に「代償分割」(特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に現金を支払う方法)が難しいケースで有効な場合があります。


リースバック契約前に必ず確認すべき5つのポイント

契約内容は会社によって大きく異なります。以下の点は必ず確認してください。

確認項目確認内容
① 売却価格の根拠市場価格との差はどの程度か。査定の根拠を書面で確認
② 賃料の設定根拠相場と比べて妥当か。売却価格との利回りバランスを確認
③ 契約形態(普通借家 or 定期借家)定期借家の場合、期間満了後の更新・再契約の保証があるか
④ 買い戻し条件買い戻し価格・期限・条件が明確に定められているか
⑤ 業者の信頼性・財務状況大手か地域密着型か、実績・口コミ・財務情報を確認

特に注意したいのが賃貸借契約の種類です。定期借家契約は更新がなく、期間満了で退去を求められる可能性があります。「住み続けられると思っていたのに退去を迫られた」というトラブルも報告されているため、契約書の種別は必ず確認を。


リースバックが向いているケース・向いていないケース

向いているケース向いていないケース
介護・医療費など急な資金が必要市場価格に近い売却額を希望している
引越しや環境の変化を避けたい長期間の家賃負担が難しい
相続税の納税資金を確保したい将来的に自分の資産として物件を残したい
空き家の維持コストを削減したい物件が共有名義で全員の合意が取れていない
不動産管理の手間を省きたい売却後すぐに物件を手放す予定がある

「今すぐ現金が必要」かつ「住み続けたい」という状況でなければ、通常の売却や賃貸活用の方が有利なケースも多くあります。安易にリースバックを選ぶ前に、複数の選択肢を比較検討することが重要です。


相続不動産のリースバック、まず専門家に相談を

リースバックは一見シンプルに見えて、税務・法務・不動産の知識が絡み合う複雑な取引です。特に相続対策として活用する場合は、不動産・税務・法律の各専門家が連携して確認することが不可欠です。

**Bushizo相続相談室(品川広域センター)**では、宅地建物取引士が窓口となり、司法書士・税理士・弁護士と連携したワンストップの相談対応を行っています。「売却を急かす」ことは一切せず、お客様の状況に合った最善の方法を一緒に考えます。

品川・大田・港エリアを中心に、全国の相続不動産についてもご相談いただけます。

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まずはお気軽にご連絡ください。相談だけでも歓迎です。


よくある質問(FAQ)

Q1. リースバックをした場合、住民票はそのままにできますか?

A. 一般的には可能です。住所自体は変わらず同じ物件に住み続けるため、住民票の移動は不要です。ただし、所有権は移転するため、登記上の所有者は変わります。固定資産税の納税通知書などの宛先変更が必要になる場合がありますので、契約時に買主と確認してください。

Q2. 相続税の申告期限(10か月)が迫っています。リースバックは間に合いますか?

A. リースバックの契約期間は、一般的には通常売却と同程度(1〜3か月程度)かかるケースが多いです。申告期限が迫っている場合は、まず税理士と連携しながら延納・物納の可否も含めて早急に検討することをお勧めします。並行して不動産の査定を進めることが重要です。

Q3. リースバック後に物件を買い戻すことはできますか?

A. 契約によっては「買戻し特約」が付帯されている場合があります。ただし、買戻し価格は売却時より高くなるのが一般的であり、期限・条件も厳しく設定されているケースがほとんどです。また、業者の経営状況によって買戻しが困難になることもあります。買い戻しを重視する場合は、契約書の条件を弁護士等に確認してもらうことを強くお勧めします。


【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的として作成しており、特定の税務・法務・不動産に関する個別アドバイスを提供するものではありません。リースバックの利用や相続対策の実施にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・宅地建物取引士など各分野の専門家にご相談のうえ、ご自身の判断で対応されることをお勧めします。

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