遺産相続と所得税の関係を徹底解説|課税される場合・されない場合
「遺産を受け取ったら所得税もかかるの?」その疑問に結論からお答えします
親が亡くなり、遺産として預貯金や不動産を引き継いだとき、「相続税のほかに所得税まで払う必要があるの?」と不安になる方は少なくありません。相続に慣れている人はほとんどいませんから、税金の種類が混乱するのは当然のことです。
結論からお伝えすると、「遺産そのものを受け取ること」に所得税はかかりません。 ただし、相続した財産を「その後にどう扱うか」によって、所得税が発生するケースがあります。この違いを正しく理解しておかないと、確定申告の漏れや思わぬ税負担につながることがあります。
この記事では、相続と所得税の関係を基礎からわかりやすく整理し、どんなときに所得税が発生するのかを具体例を交えて解説します。
相続税と所得税、そもそも何が違うのか
まずは2つの税金の違いを整理しておきましょう。
| 税金 | かかるタイミング | 課税対象 | 申告期限 |
|---|---|---|---|
| 相続税 | 相続(遺産を受け取ったとき) | 遺産総額から基礎控除を引いた額 | 相続開始を知った翌日から10か月以内 |
| 所得税 | 相続した財産から収益が生じたとき、または売却したとき | 収益・売却益(譲渡所得など) | 翌年2月16日〜3月15日の確定申告 |
相続税は「財産を受け取ったこと自体」に対してかかる税金です。一方、所得税は「財産を使って利益を得たとき」にかかる税金です。
たとえば、親から1,000万円の預貯金を相続した場合、その1,000万円には(基礎控除額を超えていれば)相続税がかかります。しかし、その1,000万円を銀行に預けておくだけでは所得税はかかりません。その預金から利子が生じれば、利子所得として所得税の対象になります。
遺産相続で所得税がかかる主なケース
遺産そのものへの課税はありませんが、以下のケースでは所得税が発生します。それぞれ確認しておきましょう。
① 相続した不動産を売却したとき(譲渡所得)
相続した実家や収益物件を売却すると、譲渡所得税(所得税+住民税)の対象になります。
譲渡所得の計算式は次のとおりです。
譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
ここで重要なのが「取得費」の扱いです。相続で取得した不動産の場合、被相続人(亡くなった方)が購入した金額や取得時期を引き継ぐのが原則です。何十年も前に購入した実家を売却する場合、取得費が低く、譲渡所得が大きくなるケースがあります。
税率は保有期間(被相続人の取得日から計算)によって異なります。
| 保有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期) | 30% | 9% | 約39% |
| 5年超(長期) | 15% | 5% | 約20% |
※復興特別所得税(2.1%)が別途加算されます。
なお、相続した実家を売却する場合には、一定の要件を満たすと「3,000万円特別控除(空き家特例)」が使えることがあります。適用要件が細かいため、売却前に必ず専門家へ確認することをおすすめします。
② 相続した不動産から家賃収入が発生したとき(不動産所得)
アパートやマンションなどを相続し、そのまま賃貸経営を続ける場合、家賃収入は不動産所得として毎年確定申告が必要です。これは相続前から続いている収益物件でも同様で、相続した瞬間から新たな所有者として申告義務が生じます。
品川・大田・港エリアでも、収益物件を相続してそのまま経営を引き継ぐケースは多く、申告を忘れてしまう方も散見されます。相続した年の途中から収入が発生している点に注意が必要です。
③ 被相続人の死亡後に確定していた収入(準確定申告)
亡くなった方に給与収入・年金・不動産収入などがあった場合、相続人が準確定申告を行う必要があります。申告期限は相続開始を知った翌日から4か月以内と通常の確定申告より短いため、見落としに注意してください。
④ 生命保険金・年金形式の保険金(一時所得・雑所得)
生命保険金は、契約者・被保険者・受取人の関係によって課税される税金の種類が変わります。
| 契約者 | 被保険者 | 受取人 | 課税される税金 |
|---|---|---|---|
| 被相続人 | 被相続人 | 相続人 | 相続税 |
| 相続人(受取人) | 被相続人 | 相続人(本人) | 所得税(一時所得) |
| 被相続人 | 被相続人 | 相続人以外の第三者 | 贈与税 |
一時所得には「50万円の特別控除」があり、課税されるのはそれを超えた部分の1/2です。また、年金形式で受け取る保険金は「雑所得」として毎年課税されます。
遺産相続で所得税がかからないケース
以下は原則として所得税がかからない代表的なケースです。
- 現金・預貯金をそのまま受け取る(運用・売却しない限り)
- 不動産をそのまま保有し続ける(家賃収入が発生しない自宅用等)
- 相続税の基礎控除内で収まる遺産を受け取る(相続税自体がかからなくても、所得税の有無とは別)
ただし「相続税がかからない=税金は一切関係ない」ではありません。上述のとおり、その後の使い方によって所得税が発生することは十分あり得ます。
2024年以降の制度変更で注意すべき点
近年、相続に関わる制度が相次いで見直されています。所得税に直接関わるものではありませんが、相続全体の計画に影響する重要な変更点です。
相続登記の義務化(2024年4月〜)
2024年4月から相続による不動産の名義変更(相続登記)が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しないと、過料(10万円以下)の対象になります。不動産を売却するには登記が前提となるため、早期に手続きを進めることが大切です。
生前贈与加算が7年に延長(2024年〜)
2024年1月以降の贈与から、相続前の生前贈与を相続財産に加算する期間が3年から7年に順次延長されています。相続税の計算に影響するため、生前対策を検討している方は専門家との早めの相談をおすすめします。
税金の判断に迷ったら、まず相談を
相続した財産に所得税がかかるかどうかは、「何を相続したか」「その後どう扱うか」によってケースごとに異なります。特に不動産が絡む場合は、相続税・所得税・登録免許税・固定資産税と複数の税金が関係し、判断が複雑になりがちです。
Bushizo相続相談室(品川広域センター) では、宅地建物取引士が相続不動産の相談を入口に、税理士・司法書士・弁護士と連携したワンストップ対応を行っています。「売却を急かされたくない」「まず状況を整理したい」という方も、お気軽にご相談ください。品川・大田・港エリアはもちろん、全国の相続不動産にも対応しています。
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よくある質問
Q1. 相続した実家を売却したら必ず確定申告が必要ですか?
A. 譲渡所得が発生した場合は確定申告が必要です。ただし、各種特別控除(3,000万円控除など)を適用した結果、課税所得がゼロになる場合でも、特例を適用するためには申告が必要なケースがあります。必ず税理士等に確認することをおすすめします。
Q2. 相続税を払ったのに、売却時にも所得税がかかるのは二重課税ではないですか?
A. 課税の趣旨が異なるため、法律上は二重課税にはあたらないとされています。ただし、相続税を支払った不動産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」があります。この特例を使うことで所得税を軽減できるケースがありますので、専門家にご確認ください。
Q3. 親の不動産を相続したが、名義変更をしていなくても所得税の申告は必要ですか?
A. 名義変更(相続登記)の有無にかかわらず、実態として相続人が賃貸収入を受け取っている場合は、所得税の確定申告が必要です。また、2024年4月からは相続登記が義務化されており、未登記のままでは過料の対象になる可能性もあります。早めに手続きを進めることをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務判断を保証するものではありません。具体的なご状況については、税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。