事実婚(内縁)の遺産相続|法的権利と対策を徹底解説
「籍を入れていないから相続できない」は本当か?事実婚と遺産の関係
「長年一緒に暮らしてきたのに、籍を入れていないだけで財産を受け取れないのだろうか」——そんな不安を抱えて調べている方は少なくありません。特に高齢化が進む品川・大田・港区エリアでも、事実婚・内縁関係のカップルからの相続相談は年々増えています。
結論から先にお伝えします。
事実婚(内縁)のパートナーには、現行の民法上、法定相続権は認められていません。
ただし、これはあくまで「何も対策しなかった場合」の話です。遺言書の作成や生前贈与、生命保険の活用など、適切な手を打つことで、大切なパートナーに財産を残すことは十分に可能です。この記事では、事実婚と相続の関係を基礎から整理し、具体的な対策まで丁寧に解説します。
事実婚パートナーの法的立場|民法が定める「相続人」とは
民法第887条〜890条には、相続人となれる人の範囲(法定相続人)が定められています。配偶者は常に相続人になれますが、ここでいう「配偶者」とは法律婚(婚姻届を提出した配偶者)のみを指します。
いくら長年同居し、生計を共にし、実質的に夫婦同然の生活を送っていても、届出のない事実婚・内縁関係にある相手は法定相続人にはなれません。
事実婚パートナーが直面するリスク
何も対策をしないまま一方が亡くなった場合、以下のような深刻な事態が起こりえます。
| リスク | 具体的な内容 |
|---|---|
| 自宅から退去を求められる | 賃貸物件の場合、故人名義の契約が終了し、相続人から明渡しを請求される可能性がある |
| 預貯金を引き出せない | 金融機関は相続人の手続きが完了するまで口座を凍結する |
| 不動産の名義変更ができない | 法定相続人への移転登記が行われ、パートナーは居住権を失うリスクがある |
| 遺産分割協議に参加できない | 相続人ではないため、話し合いの席にすら座れない |
2024年4月から相続登記の義務化が施行されました。相続人は不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。これにより、故人の家に住み続けている事実婚パートナーが、知らないうちに法定相続人によって登記手続きを進められ、立場が不安定になるケースが今後増えると予想されます。
事実婚パートナーが財産を受け取れるケース
法定相続人ではない事実婚パートナーでも、財産を受け取れる方法は複数あります。
① 遺言書(遺贈)
故人が公正証書遺言などで「パートナーに○○を遺贈する」と意思表示していれば、パートナーは「受遺者」として財産を受け取れます。これが最も確実かつ一般的な対策です。
ただし、法定相続人(子・兄弟姉妹など)がいる場合、遺留分(法律上最低限保証された相続分)に注意が必要です。事実婚パートナーへの遺贈が法定相続人の遺留分を侵害すると、後から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
② 生命保険の受取人指定
生命保険の「受取人」にパートナーを指定しておけば、保険金は相続財産とは別に受け取れます。保険金は原則として相続人の同意なく受け取れるため、すぐに生活資金として使えるメリットがあります。
③ 生前贈与
生前に財産を贈与しておく方法です。年間110万円以内であれば贈与税がかかりません(基礎控除の活用)。
なお、2024年以降、相続開始前7年以内の生前贈与は相続財産に加算されるルールに変更されました(従来は3年以内)。ただし、このルールは法定相続人への贈与が対象であるため、法定相続人でない事実婚パートナーへの生前贈与には原則として適用されません。
④ 死因贈与契約
「自分が死んだときにこの財産をあなたに贈与する」という契約を生前に締結する方法です。遺贈と似ていますが、双方の合意が必要な契約である点が異なります。公正証書で作成しておくと安心です。
事実婚と相続税|パートナーが受け取る際の税負担に注意
法定相続人でないパートナーが遺贈や死因贈与で財産を受け取る場合、相続税の計算上、2割加算の対象となります(配偶者控除は適用されません)。
また、不動産を受け取った場合は、相続登記(所有権移転登記)の費用も発生します。
| 項目 | 法律婚の配偶者 | 事実婚のパートナー(受遺者) |
|---|---|---|
| 法定相続権 | あり | なし |
| 相続税の配偶者控除 | 適用あり(最大1億6,000万円または法定相続分) | 適用なし |
| 相続税の2割加算 | 対象外 | 対象(一般的に) |
| 遺留分の請求権 | あり | なし |
| 相続登記の義務 | あり(2024年義務化) | 遺贈の場合は登記が必要 |
相続税が発生するかどうか、どの程度の税負担になるかはケースによって大きく異なります。事前に税理士への確認を強くお勧めします。
事実婚が認定されると権利が生まれる場合も|内縁関係の特例
民法上の相続権はないものの、事実婚(内縁)の状態が認められることで一定の権利が発生する制度が存在します。
- 国民年金・厚生年金の遺族給付:内縁関係が認定されれば、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受給できる場合があります(生計維持関係が要件)。
- 借家の継続居住権:故人が借家に住んでいた場合、内縁のパートナーは借地借家法の保護を受けられるケースがあります。
- 財産分与的な請求:内縁関係解消(死亡を含む)の際、財産形成への貢献を証明できれば、不当利得返還請求や損害賠償請求が認められた判例もあります。
ただし、これらの権利認定には内縁関係の実態を証明する資料(住民票の同一住所登録、共同生活の証明、生計一体の証拠など)が必要になります。
今すぐできる対策のまとめ|事実婚カップルのチェックリスト
事実婚のパートナーに財産を確実に残すために、今すぐ確認・準備できることをまとめます。
- 公正証書遺言を作成する(最優先)
- 生命保険の受取人をパートナーに変更する
- 死因贈与契約を公正証書で締結する
- 住民票を同一住所にしておく(内縁関係の証明になる)
- 共同生活・生計一体の記録を残しておく
- 法定相続人との関係性を整理し、遺留分トラブルを事前に検討する
- 不動産がある場合は、生前対策(名義変更・信託等)を専門家に相談する
不動産が絡む場合は特に注意が必要です。遺言の内容と登記手続きを連動させておかないと、相続発生後に想定外のトラブルになることがあります。
事実婚・内縁関係の相続対策は、早めの専門家相談が何より大切です。
Bushizo相続相談室(品川広域センター)では、宅地建物取引士が窓口となり、司法書士・税理士・弁護士と連携したワンストップ対応を行っています。「まだ先の話」と感じていても、公正証書遺言の準備だけでもしておくと、大切なパートナーを守ることができます。売却を急かさず、じっくりお話を伺いますので、まずはお気軽にご相談ください。
📞 無料相談はこちら → お問い合わせフォーム / 050-5527-6414 (品川・大田・港区およびその周辺エリア、全国の相続不動産に対応)
よくある質問(FAQ)
Q1. 事実婚のパートナーとの間に子どもがいる場合、子どもは相続できますか?
A. 子どもが認知されていれば、法定相続人(第1順位)として相続権が生じます。認知されていない非嫡出子(婚外子)であっても、認知届が出されていれば法律婚の子と同等の相続分が認められます(2013年の最高裁判決・民法改正による)。ただし認知がない場合は相続権がありませんので、早めに認知手続きを行うことをお勧めします。
Q2. 遺言書があれば、法定相続人の同意がなくてもパートナーに財産を渡せますか?
A. 基本的には遺言書の内容に従って財産を渡すことができます。ただし、法定相続人には遺留分(最低限保証された相続分)があり、遺留分を侵害する内容の遺言に対しては、法定相続人から遺留分侵害額請求をされる可能性があります。遺留分を侵害しない範囲で遺言を作成するか、法定相続人への配慮も含めた内容にするなど、事前の設計が重要です。
Q3. 長年一緒に暮らしていれば、黙っていても内縁関係が認められて遺産をもらえますか?
A. 自動的に認められるわけではありません。内縁関係の認定には、「社会的に夫婦として認められている実態(同居・共同生活・相互扶養など)」を証明する必要があります。また、内縁関係が認定されても相続権は発生しません(遺族年金など一部の制度で保護される場合はあります)。財産を確実に受け取るためには、やはり遺言書や死因贈与契約などの準備が不可欠です。
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務判断を行うものではありません。具体的なご状況については、司法書士・税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。