相続税・税金

相続と税務署の関係を解説|申告・調査・期限まで基礎知識

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
相続と税務署の関係を解説|申告・調査・期限まで基礎知識

「税務署に何かしなければいけないの?」相続後に感じる不安を解消します

家族が亡くなり、悲しみが癒えないうちから押し寄せてくるのが「相続の手続き」です。その中でも多くの方が戸惑うのが、税務署との関係。「そもそも申告が必要なのか」「いつまでに何をすればいいのか」「税務調査が来たらどうなるのか」——こうした疑問をお持ちの方は少なくありません。

結論から言えば、相続税の申告が必要かどうかは「遺産総額が基礎控除を超えるかどうか」で決まります。 超えない場合は原則として税務署への申告は不要です。ただし、申告が必要なケースで対応を誤ると、加算税・延滞税といったペナルティが課されることもあります。

この記事では、相続と税務署の関係を基礎から整理し、申告の要否判断・期限・税務調査への備えまでわかりやすく解説します。


相続税の申告が必要かどうかの判断基準

基礎控除額の計算式

相続税には「基礎控除」があり、遺産の合計額がこの金額以下であれば、原則として相続税は発生せず、税務署への申告も不要です。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人(計3人)の場合:

3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

遺産の総額がこの4,800万円を下回るのであれば、税務署への申告は基本的に必要ありません。

「遺産総額」に含まれるもの

遺産総額の計算では、現預金や不動産だけでなく、以下も含まれることに注意が必要です。

含まれるもの具体例
現預金・有価証券銀行口座残高、株式・投資信託など
不動産土地・建物(相続税評価額で計算)
生命保険金(みなし相続財産)非課税枠あり:500万円×法定相続人の数
死亡退職金(みなし相続財産)非課税枠あり:500万円×法定相続人の数
生前贈与財産(加算ルールあり)後述する7年ルールに注意

品川・大田・港エリアは地価が高いため、自宅不動産が一つあるだけで基礎控除を超えるケースも珍しくありません。「うちは関係ない」と思わず、まず簡易計算してみることをおすすめします。


【2024年改正】生前贈与の加算期間が7年に延長

2024年(令和6年)以降の贈与から、相続発生前の生前贈与が相続税の課税対象に加算される期間が「3年」から「7年」に段階的に延長されました。これは相続税対策として生前贈与を活用してきた方に大きな影響があります。

改正前(〜2023年末)改正後(2024年〜)
相続前3年以内の贈与を加算相続前7年以内の贈与を加算(段階的移行)
加算額:贈与財産の全額延長4年分:総額100万円を控除して加算

「毎年コツコツ贈与していたから大丈夫」と思っていた方も、このルール改正によって想定外の相続税が発生するケースがあります。既存の贈与計画がある方は、早めに税理士へ確認することをおすすめします。


相続税の申告期限と税務署への提出手続き

申告・納付の期限は「10ヶ月以内」

相続税の申告と納付は、被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内が期限です。

例:2025年1月15日に死亡 → 申告・納付期限は2025年11月15日

この期限は遺産分割協議が整っていなくても変わりません。分割が決まっていない場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出するなど、別途対応が必要になります。

申告先の税務署はどこ?

申告先は、被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署です。相続人(受け取る側)の住所地ではない点に注意してください。

たとえば、被相続人が品川区に住んでいた場合は品川税務署、大田区であれば雪谷税務署・田園調布税務署などが管轄となります(実際の管轄は国税庁ウェブサイトで確認を)。

申告が必要なのに期限を過ぎたら

期限を過ぎると以下のようなペナルティが発生することがあります。

ペナルティの種類概要
無申告加算税納付すべき税額に対して最大20〜30%程度が加算
延滞税期限翌日から納付日まで日割りで発生
重加算税意図的な隠蔽が認められた場合、最大40%程度

「知らなかった」では済まされないケースもあるため、申告が必要かどうかわからない場合は早期に専門家に相談することが大切です。


税務署の「相続税の税務調査」とは

税務調査はどんな場合に来るの?

相続税の申告をした後、税務署が内容を確認しに来る「税務調査」が行われることがあります。すべての申告に調査が入るわけではなく、申告内容に不審点がある場合や、申告が必要と思われるのに申告がない場合などに実施されます。

国税庁の公表データによれば、相続税の実地調査の割合は申告件数全体の数パーセント程度とされており、調査が入った場合の追徴課税率は比較的高い水準にあります。

税務調査で指摘されやすいポイント

  • 名義預金:子ども名義だが実質的に被相続人が管理していた預金口座
  • 申告漏れの不動産:遠方の土地や未登記建物
  • 生前贈与の計上漏れ:7年加算ルールへの対応不足
  • 現金・貴金属の申告漏れ:タンス預金や貴金属類

税務調査は通常、事前に日程調整の連絡が来ます。いきなり押しかけてくることは基本的にはありません。調査の連絡が来た場合は、税理士に立ち会いを依頼するのが一般的です。


「相続税がかからない」場合でも税務署が関係するケース

相続税の申告が不要な場合でも、税務署に関係する場面があります。代表的なのは以下の2つです。

① 「相続税の申告要否検討表」の送付

税務署は、相続発生後に一定の財産があると判断した場合、相続人に対して「相続税の申告等についてのご案内」や「相続税の申告要否検討表」を送付することがあります。これは「申告しなさい」という命令ではなく、申告が必要かどうかを自身で確認してほしいという案内です。受け取ったからといって必ず申告が必要というわけではありませんが、無視せず内容を確認してください。

② 相続登記の義務化(2024年4月〜)

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得した場合、取得を知った日から3年以内に法務局で登記申請することが義務となっています。これは税務署ではなく法務局への手続きですが、登記情報は税務当局とも連携しているため、未登記のまま放置することはリスクとなります。


相続と税務署の手続きで困ったら、専門家への相談が近道

相続税の申告は、財産の評価・計算・書類作成など専門知識が必要な場面が多く、一般の方が一人で対応するのは容易ではありません。また、「申告が必要かどうかわからない」という段階から相談できる窓口を早めに見つけておくことが重要です。

**Bushizo相続相談室(品川広域センター)**では、宅地建物取引士を中心に、税理士・司法書士・弁護士と連携したワンストップ相談が可能です。相続税の要否判断から、不動産の評価・売却・活用まで、売却を急かさない姿勢でお一人おひとりの状況に合わせてご対応します。品川・大田・港区を中心に、全国の相続不動産にも対応しています。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 相続税の申告が不要でも、税務署から書類が届きました。どうすればいいですか?

A. 「相続税の申告要否検討表」などの案内が届いた場合、まず遺産総額と基礎控除額を比較してみてください。基礎控除の範囲内であれば申告不要ですが、書類に従って回答を返送するケースもあります。判断に迷う場合は税理士または当相談室へご相談ください。

Q2. 相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎてしまいました。今からでも申告できますか?

A. はい、期限後でも「期限後申告」として申告することは可能です。ただし、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。税務調査が来る前に自主的に申告した場合は、ペナルティが軽減されるケースもありますので、早急に税理士へ相談することをおすすめします。

Q3. 不動産しか相続しませんでした。相続税の申告は必要ですか?

A. 不動産のみの場合でも、相続税評価額(路線価や固定資産税評価額をもとに計算)が基礎控除を超える場合は申告が必要です。特に都市部では土地の評価額が高くなりやすいため、まず評価額の確認から始めることをおすすめします。また、2024年4月以降は相続登記も義務化されていますので、法務局への登記手続きも忘れずに行ってください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法務判断の根拠となるものではありません。具体的なご状況については、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。

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