遺産分割・兄弟

寄与分とは?介護した分は多くもらえるか・認められるハードルを解説

Bushizo相続相談室(宅地建物取引士)
寄与分とは?介護した分は多くもらえるか・認められるハードルを解説

「介護してきた私が、何もしなかった兄弟と同じ割合?」——その疑問、もっともです

親の介護を何年も続けてきた。仕事を減らし、自分の時間を犠牲にし、施設に入れずに自宅で看取った。それなのに、遠方でほとんど顔も見せなかった兄弟と「法定相続分は同じ」と言われたら、誰でも納得できないはずです。

結論からお伝えします。民法には「寄与分(きよぶん)」という制度があり、一定の貢献が認められれば遺産を多く受け取れる可能性があります。ただし、そのハードルは想像以上に高く、「介護した」という事実だけでは認められないケースがほとんどです。

この記事では、寄与分の仕組みと認定要件、計算の考え方、そして相続人以外の貢献を救う「特別寄与料」まで、分かりやすく解説します。


寄与分とは何か——民法が定める「貢献への上乗せ」

寄与分とは、被相続人(亡くなった方)の財産の維持または増加に特別の貢献をした相続人に対し、法定相続分に上乗せして遺産を多く取得できる権利です(民法第904条の2)。

たとえば遺産総額が3,000万円あり、子ども2人が相続人の場合、法定相続分は各1,500万円。しかし、一方の子どもに寄与分として600万円が認められれば、その600万円を差し引いた2,400万円を法定相続分で分け(各1,200万円)、寄与分のある方は1,200万円+600万円=1,800万円を取得できます。

寄与分が認められる主な類型

類型具体例
療養看護型専従的に介護を行い、介護費用の支出を節約させた
事業従事型親が経営する農業・商売を無償または低賃金で手伝った
財産管理型親の不動産を管理・修繕し財産価値を維持した
財産給付型親に金銭等を贈与・貸与して生活を支えた
扶養型扶養義務を超えて生活費を継続的に負担した

品川・大田・港エリアでもご相談で多いのが「療養看護型」です。都市部では施設入所費用が高額になることが多く、在宅介護による費用節約の貢献は大きくなりがちですが、だからといって自動的に認められるわけではありません。


介護の寄与分が認められる「3つの壁」

寄与分は自己申告制であり、相続人全員の合意がなければ家庭裁判所の調停・審判が必要になります。そして裁判所が「特別の寄与」と認めるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

壁①:「特別の貢献」でなければならない

親の面倒を見ることは、ある程度は扶養義務者として当然の行為とみなされます。週末に様子を見に行った、買い物を手伝った程度では「特別の貢献」にはなりません。

認められやすいポイント:

  • 専従性:他の仕事を辞めたり大幅に削減したりして介護に従事した
  • 継続性:数年以上にわたって継続的に関与した
  • 療養看護の必要性:要介護認定を受けているなど、医療・介護が必要な状態だった

壁②:財産の維持または増加への貢献が必要

「精神的な支え」や「感情的な絆」は寄与分の根拠になりません。実際に介護サービス費用の支出を節約した・財産が減らずに済んだという経済的効果が問われます。裁判所実務では、ヘルパー等を雇用した場合の費用相当額を目安に算定されることが一般的です。

壁③:証拠が必要

口頭での主張だけでは認められません。介護記録・日記・医療機関との連絡記録・要介護認定の証明書・ヘルパー不使用の実績などが重要な証拠となります。

⚠️ **「家族なんだから記録なんてつけない」が最大の落とし穴です。**介護を始めた段階から、日時・内容・頻度を記録しておくことを強くおすすめします。


寄与分の計算方法——「いくら上乗せされるか」の目安

寄与分の額は、まず相続人全員の協議で決めます。合意できない場合は家庭裁判所の審判によります。

療養看護型の場合、一般的に用いられる計算式の考え方は以下の通りです(あくまで目安であり、実際の算定は専門家に確認ください)。

寄与分の目安 = 日当相当額 × 療養看護日数 × 裁量割合(0.5〜0.8程度)

例:

  • 日当相当額:8,000円(ヘルパー費用等を参考に算出)
  • 療養看護日数:365日×3年=1,095日
  • 裁量割合:0.7
  • → 8,000円 × 1,095日 × 0.7 = 約613万円

ただし、裁量割合は「他の相続人が全く関与しなかったか」「介護の専門性はどの程度か」「被相続人の意思はどうだったか」などによって変動します。

また、寄与分は相続財産の総額を超えることはできません(民法904条の2第3項)。遺産が少ない場合は、認められる寄与分も必然的に小さくなります。


相続人以外の貢献——「特別寄与料」制度も見逃せない

2019年の民法改正で創設された**特別寄与料(民法1050条)**は、相続人以外の親族(例:長男の妻)が被相続人の療養看護に貢献した場合に、相続人に対して金銭の支払いを請求できる制度です。

項目寄与分特別寄与料
対象者相続人のみ相続人以外の6親等内の血族・3親等内の姻族
根拠条文民法904条の2民法1050条
請求先相続人間の協議または家裁相続人に対して請求(合意なければ家裁)
請求期限遺産分割協議内相続開始および相続人を知った時から6か月、かつ相続開始から1年

特別寄与料は期限に注意が必要です。「長男の妻が義父母を介護していた」というケースはよくありますが、請求期限を過ぎると権利が消滅します。


寄与分を巡るトラブルを防ぐために——生前にできること

寄与分は「死後に揉める制度」です。できれば生前に対策を講じておくほうが、家族全員にとって負担が少なくなります。

有効な生前対策

① 遺言書の作成 遺言書で「長女に〇〇を相談する」と明記すれば、寄与分の争いをほぼ避けられます。ただし、遺留分(最低限もらえる割合)を侵害しないよう注意が必要です。

② 家族信託・生前贈与 介護貢献者に対して生前贈与で財産を移転しておく方法もあります。ただし、2024年1月からの改正により、生前贈与加算の期間が相続開始前3年から7年に延長されました。贈与のタイミングと金額は専門家へご相談ください。

③ 介護に関する覚書・合意書の作成 相続人全員で「○○が主たる介護を担う代わりに、遺産分割では××とする」という合意書を生前に作成しておく方法もあります(法的効力には限界がありますが、争いの防止に役立ちます)。


寄与分・特別寄与料でお困りの方へ——まず無料相談を

介護の苦労が正当に評価されるかどうかは、記録の有無・遺産の内容・他の相続人との関係など、個別事情によって大きく異なります。「自分の場合は認められるの?」と感じたら、早めに専門家へご相談ください。

**Bushizo相続相談室(品川広域センター)**では、宅地建物取引士が窓口となり、提携する司法書士・税理士・弁護士とともにワンストップでご対応します。「売却を急かされそう」「何から聞いていいか分からない」という方も、まずはお気軽にどうぞ。

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よくある質問(Q&A)

Q1. 介護をしたことの証明は何が有効ですか?

A. 要介護認定通知書・ケアプラン・医療機関の診療記録・介護日誌(日時・内容を記したもの)・写真・家族間のメッセージ履歴などが有効です。ヘルパーや訪問看護を利用せずに自分が代替していたことを示す記録があると、より説得力が高まります。日頃からこまめに記録しておくことが重要です。

Q2. 寄与分は遺言書で指定できますか?

A. 遺言書で直接「寄与分を〇〇円とする」と指定することはできません(民法上、寄与分は相続人間の協議または家裁の審判で決まるものです)。ただし、遺言書で貢献した相続人に多くの財産を配分することで、実質的に同じ効果を得ることは可能です。遺留分との兼ね合いも含め、遺言書作成時に専門家へご相談ください。

Q3. 兄弟全員が合意しなければ寄与分は認められませんか?

A. 相続人全員の合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停の中で寄与分を主張することになります。調停でも合意できない場合は審判に移行し、裁判官が判断します。ただし審判・調停には時間・費用・精神的負担がかかるため、できる限り協議で解決することが望ましいです。


免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の法律・税務・相続に関する個別アドバイスを提供するものではありません。実際の相続手続きや寄与分の判断については、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

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